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『月が滲む 他』 15KB 虐待 自業自得 日常模様 群れ 野良ゆ ゲス ペットショップ 都会 現代 虐待人間 短編集です ※※CAUTION※※ このSSの大部分は、スレに即興として投稿したもののまとめです。 「月が滲む」 「ゆっくりしていってね!」 まりさは寝る前に、笑顔で月に挨拶をする。 空の上に浮かぶ姿がとても自由に……「ゆっくりして」見えるからだ。 ごみごみした路地裏で寒さに凍えた日も、 両親が人間に殺された日も、 番が出来た日も、 おちびちゃんが出来た日も、 縄張り争いに負け、餌が採れなくなった日も、 おちびちゃんが飢えて死んだ日も、 番と共に、お腹が減って動けなくなった今日も。 「ゆっくりしていってね!!」 まりさは寝る前に、笑顔で月に挨拶をする。 食いしばった歯が軋む。月が滲む。 「弱くて強か。そして愚か」 「ありがとうございばずうぅぅぅ!!」 泥と埃とその他諸々に汚れた一匹のまりさが、俺のやった残飯を前に、 ぺこぺこと顔を地面に打ち付ける。俺はゆっくりが好きじゃないけれど、 ここまで惨めな姿を見せ付けられると、駆除する気も失せる。 誰かが殺してくれたらいいなぁと思っているのだけれど、考える事は皆同じ。 なんだかんだでこのまりさは、ここ一帯の家から残飯を貰い続ける事に成功していた。 ある日の夜。散歩をしていた俺は、路地裏から甲高い声が響いてくる事に気付いた。 足を向けてみるとそこには、ぼろぼろの親まりさと、小奇麗な子まりさがいた。 「もっとよこしぇ!ゆっくちできにゃいくじゅおや!!」 低い木箱の上にふんぞり返る子まりさは、腹をぱんぱんに膨らませながら、 親になおも食い物を要求している。そして親まりさは、地面から子まりさを仰ぎ見、 涙を流しながら子まりさに食料を献上していた。 「そうだよ、おとーさんはゆっくりできないゆっくりだよ。 ごはんさんをもらうために、まいにちくそにんげんにぺこぺこしないといけないだめな ゆっくりだよ。でも、でもおちびちゃんは……!」 親まりさの目が陶酔に濁る。 「おちびちゃんはきれいなゆっくりだよ!とってもゆっくりできるゆっくりだよ!! おちびちゃんならきっと『かいゆっくり』になれるよ!!くそにんげんをそのかわいさで めろめろー!にして、どれいにできるとってもゆっくりしたゆっくりだよ……!! おとーさんはおちびちゃんが『かいゆっくり』になるためなら、どんなくつっじょくっにも たえられるよ……!」 「あたりまえでしょ!まりしゃほどゆっくりしたゆっくりはいないんぢゃ!!くじゅおやは、 ゆっくりしたまりしゃのしーしーでもくりゃえ!!!」 ふぅん。そう言う事だったのか。ま、ある意味で想像通りだよ。 でもな、まりさ。お前の子供を飼ってくれる人間なんていないぜ。 お前らに「いつか」なんて存在しない。お前らが生きていくためには一生、 笑顔で人間の靴の裏を舐め続けないといけないのに。ま、気持ちは分かるがな。 俺は肩をすくめて、路地裏から立ち去った。明日からは何の良心も感じることなく、 あの汚い饅頭を追い払えそうだ。 「灯火の夜」 「おひさまさん……」 「どぼじで……」 爽やかな夜明けの公園。目の下に隈を作ったゆっくり達が、登っていく太陽を見つめ、呟く。 それもそのはず。ここにいるゆっくりたちは、一睡もしていないのだ。 ゆっくりにとって、太陽が登っている時に餌を集めるのは常識だ。 闇は、怖い。そう餡子の奥に記憶が染みついているから、街に住むゆっくりは、 太陽が登っているうちに、必死になって餌を集める。 ゆっくりが沢山住み着いている公園の真ん中に、大きな街燈がある。 煌々と輝く街燈は、公園の治安に貢献している。しかしゆっくりにはそれは、別の物に見えた。 明るくて丸い物=太陽。そう思い込んだ公園に住むゆっくりたちは、本物が太陽が沈んだ後、 街燈の明かりを見て、まだ昼だと思い込むようになったのだ。 昼が終わり、太陽が沈む。太陽を引き継ぐように、街燈に火が灯る。 「「「「「「どぼじでおひざまざんまだいるのおおおぉぉぉ!!??」」」」」」 ゆっくり達の一日は終わらない。光に追い立てられるように、ゆっくりたちは餌集めを再開した。 「一滴の泥水」 ゆっくりをペットにしたいという人間は多い。俺はそんな需要に応える、 ペットショップの店員だ。しかし最近、ゆっくりを「ペット」にするのは、不可能じゃないか? そう考える事が多くなってきた。 うちのペットショップでは、「躾済み」の個体を取り扱っている。ここで言う躾とは、人間と 共存できる、人間を不愉快にしない、という意味だ。 赤ゆっくりから選別して、涙も枯れるほどのスパルタ教育を施した商品候補のゆっくりに 最後に行うテストは、「最高にゆっくりした容姿のゲスゆっくりと、一週間一緒に暮らさせる」事だ。 さて、俺の前にはドアがある。ここに一週間放置した物がございます、ってやつだ。 ドアを開ける。 「「「「「「「「おいくそにんげん!!ゆっくりさせろ(りょ)!!!!」」」」」」」」 あーあ、揃いも揃って教えられた事をすっかり忘れちゃってまぁ。いつもの事とは言え、 こいつらにかけた時間が馬鹿らしくなる。 何で世の奴らは、こんなロクでもない生き物を飼おうとするのかね? とりあえず、足元に体当たりして来たれいむを蹴り飛ばした。 商品にならないペットがどうなるのか?それは、ペットショップの秘密だ。 「赤い果実」 人間は、生まれた時から成人と同じ脳を持っている。 そのために人間の赤ん坊は、不自然に大きい頭を持って生まれてくる。 「れいむのかわいいあかちゃんがゆっくりうまれるよおおおぉぉぉぉぉ!!」 今、俺の目の前でゆっくりが、赤ん坊を産もうとしている。 産道をみぢみぢとこじ開けてすぽんと飛び出した赤ゆっくりは、 「ゆっくりしていってね!!」 そう、幸せそうに叫んだ。ゆっくりの赤ん坊は、成体と同じ体のバランスで 生まれてくる。そしてその知能の早熟さは、人間をはるかに凌駕する。 ゆっくりは実は、人間以上にものすごいポテンシャルを秘めているんじゃないか? そう考えながらぼんやりと眺めていると、二匹のゆっくりは俺に向き直り、 「「おいくそどれい!あまあまもってこい!!」」 ふんぞり返って言い放った。 あぁ、そうか。こいつらは、生まれてから死ぬまで、同じレベルの知性しか持つ事が 出来ないのだ。ゆっくりの親子をまとめて潰しながら、俺は気付いた。 二匹の餡子は混じり合い、俺にはもう、区別もつかない。きっと、付ける必要も無いのだろう。 「黄金色の冠」 僕が飼っているれいむは、股が緩い。事あるごとにしーしーを漏らすその間抜けさが愛しい。 「ゆぎいいぃぃぃ!!うばれるううぅぅぅ!!!!」 れいむは今、散歩ついでに孕んできた子供を生み落とそうとしている所だ。 父親は僕が殺したが、クッキーを一枚やったられいむはその事を忘れてしまった。 「ほられいむ、頑張って。飴でも食べなよ」 いきんでいるれいむの真上から飴を吊るしてやると、れいむは顔を伸ばして飴に吸いついた。 「ししししあわせえええぇぇぇ!!」 「まりしゃがゆっくちうまれりゅよ!!!」 しあわせ、の言葉で力が入ったか、ぽん、と間抜けな音を立てて、赤ゆっくりが生まれ落ちる。 「ゆっくちしていっちぇびゅえぇ!?きちゃにゃいいい!!??」 赤まりさが生まれて最初の挨拶を中断したのは、頭からしーしーを浴びせかけられたから。 無論浴びせかけたのは、股の緩い僕のれいむだ。 「にゃにしゅりゅんだじぇええぇぇぇ!!??」 赤まりさは涙目で抗議するが、その声に耳も貸さず、れいむは僕の手から飴を貪り続ける。 しーしーに濡れるまりさの髪が、黄金色に輝く。誕生おめでとう、まりさ。 「翠玉を覗きこんで」 「しゅっさんっちゅうのれいむは、まりさがまもるよ!!」 小汚い野良のゆっくりが、俺の目の前で自分に酔ったように叫んだ。 こいつの後ろでは、番らしき赤リボンのゆっくりが、赤ん坊を生み落とそうとしている。 「このまりささまが、にんげんなんかにまけるわけないんだぜっ!」 不意に、にやにやと笑う黒帽子のプライドを、へし折ってやりたくなった。 「生まれてくる子供を渡せば、見逃してやっても良いよ」 「ぷー!!なにいってるんだぜ!?ばかなの?しぬの?」 へらへらと腹を見せて笑うまりさを、正面から蹴り飛ばした。 「生まれてくる子供を渡せば、見逃してやっても良いよ」 ボロ雑巾になった黒帽子……、いやハゲ饅頭は、黙って赤リボンに向かっていった。 「で、でいぶ……おちびぢゃんを……」 そこまで言った所で、ハゲ饅頭は番に潰された。 「このげす!!かけがえのないおちびちゃんをわたすわけないでしょおおぉぉ!!??」 「その子供を渡せば、見逃してやっても良いよ」 死骸を踏みにじる赤リボンに声をかける。こいつの「一番」は、子供?それとも 「スイートドロップス」 真夏の街中、照りつける日差しの中。一匹の蝉が、その命を涸らし尽くす。 「ジジジジッ……ジジッ……ジッ」 地面でもがくその蝉を、上から押さえつけるモノがいる。 「や、やったよ!はじっめてっれいむにもかりができたよおぉぉぉ!!」 いかにも鈍くさそうな一匹のゆっくりは、死んだ蝉を口の中に放り込み、 勝ち鬨の声を上げる。そして蝉が落ちてきた木を、宝物を見るように見上げた。 真夏の街中、照りつける日差しの中。一匹のゆっくりが、その命を涸らし尽くす。 「どぼじで……どぼじでせみさんおじでごないのぉ……」 地面に倒れ伏して痙攣するそのゆっくりを、訝しげに覗きこむ男がいる。 「何がしたかったの、お前?」 二十四時間一本の木を見上げ続けるそのゆっくりの姿は、それなりに目立っていた。 「ここにいれば……せみさんがかってにおちてくるんだよ……」 空ろな目のゆっくりが、ぼんやりと答える。男が木を見上げると、蝉たちが夏を歌い続けている。 「なるほど、北原白秋か。本当にやるなんて流石ゆっくりだな」 肩を竦めて、男は立ち去った。まちぼうけ、まちぼうけ……と、彼の童謡を口ずさみながら。 「悲しんでいるあなたが好き」 買い物に行くついでに、リンドウを買ってきた。 私はリンドウが好きだ。短めにカットした茎の先に付いた青紫色の花が綺麗だから。 うっとりと香りを嗅いだら、もう一輪のお気に入りの花に、さぁ会いに行こう。 「でね、おねえさん。きょうもばかなゆっくりがきて、ゆうかのおはなさんをね……」 「いつも大変ね。でも、私はあなたを応援してるからね」 ぽろぽろと涙を流すゆっくりゆうかの頭を撫でながら、私は微笑む。私はゆうかが好きだ。 その強さと一生懸命さが綺麗だから。 「元気を出して、ゆうか。今日もお花を持ってきたからね」 「ありがとうおねえさん!おねえさんはとってもゆっくりしてるわ!!」 目尻に溜まった涙を光らせながら、私に感謝するゆうか。 嗚呼、ゆうかは知らないのだ。私がペットショップで特別タチの悪い廃棄個体を買っては、 ここに美味しい花があると言って放しているのを。 私の持ってきたリンドウに見とれるゆうか。その姿がとても愛おしい。私はこれからも、 ゆうかが死なないように助けるだろう。絶望しない程度に苦しめるだろう。 何故かって?それは、ゆうかが好きだから。そう、リンドウの花言葉は 「歳を取ったライオンと狐になれない饅頭 上」 「まりささまはきづいたんだぜ!」 公園で小さな群れを治める一匹のまりさが、群れのメンバーを集めて言った。 「ゆうかがひとりじめしてるかだんのおはなさん、みんなむーしゃむーしゃしたいん だぜ!?まりささまがゆうかからおはなさんをかりるほうほうをおもいついたんだぜ!! みんなよくきくんだぜぇ!!『ゆっくりしていってね!!』」 「「「「「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」」」」」 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!!」 「「「「「「「「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!!」」」」」」」」 「わかったんだぜ!?『ゆっくりしていってね!』ってあいさつすれば、どんなゆっくりも 『ゆっくりしていってね!』ってかえすんだぜ!ずっとずーっとあいっさつっしつづければ、 ずっとずーっとあいっさつっしっぱなしなんだぜええぇぇぇぇ!!」 「「「「「「「すごいよおさあぁぁぁ!!」」」」」」」 「わかったらさっそく、ゆうかのおはなさんをしぬまでかりにいくんだぜ!」 「「「「「「「ゆおおぉぉぉ!!!」」」」」」」」 「歳を取ったライオンと狐になれない饅頭 中」 「「「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」」」 花壇で花の手入れをしているゆうかに全員で一斉に挨拶をする。振り返ったゆうかが 挨拶を返す。 「「「「「「「「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!!」」」」」」」」 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!!」 目を白黒させながら挨拶し続けるゆうか。群れ全員が自分たちの勝利を確信した。 「ゆうかはもううごけないよ!これでおはなさんたべほうだいだよおおぉぉぉ!!!」 やがて、ゆうかに挨拶し続ける事を他のゆっくりに任せて花を貪りに行こうとする個体が現れた。 「れいむはおはなさんをむーしゃむーしゃしにいくよっかわいくてごめん」 「「「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」」」 「ゆっくりしていってね……ゆゆ!?」 「「「「「「「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!!」」」」」」」 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!……これじゃおはなさん むーしゃむーしゃしにいけないでしょおおおぉぉぉぉ!?」 「歳を取ったライオンと狐になれない饅頭 下」 計画の欠陥に気付いた時、全ては手遅れだった。 「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!!」」」」」」」」 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!!」 最初は戸惑っていたゆうかも今は完全に事態を把握し、穏やかに微笑みながら 挨拶を続けている。血色をした瞳は目の前の獲物をどう嬲ってやろうかと言う嗜虐心に 満ち溢れていて、群れのゆっくりたちの中にはしーしーを漏らす者もいた。 「まりさはおうちにかえるんだゆっくりしていってねええぇぇぇ!!」 長のまりさが下半身をだくだくと濡らしながら叫ぶ。 「どぼじでごんなごどにゆっっぐりじでいっでねええぇぇ!!」 抜け駆けしようとしたれいむがびたんびたんと体を地面に叩きつける。 最早、群れの運命は決まったようなものだ。挨拶を止めた時、自分たちはどうなる? 強制挨拶で体力を使い果たして死ぬのか、それともゆうかにいぢめられて死ぬのか。 ただ、その違いがあるだけ。 公園にゆっくりの声が輪唱しつづける。ライオンの巣に、帰りの足跡は無いのだ。 おまけ 歳を取ったライオンと狐になれない饅頭の分岐編 上編は共通 「歳を取ったライオンと狐とババ抜き 中」 「ゆうか!きょうこそおはさんをかりるんだぜ!『ゆっくりしていってね!!』」 いつものように公園の花壇で、花の手入れをしているゆうか。後ろから近づいたまりさは、 にやりと笑ってゆうかに挨拶をした。 「ゆ、ゆっくりしていってね!」 振り向いて挨拶を返すゆうか。いきなり何と細められたその目が語っている。 だが、ゆっくりとしての習性には抗えない。 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!!」 まりさが挨拶すると、ゆうかも挨拶を返す。それが延々と繰り返される。 「「「「「「「「いまだよおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」」」」」 そしてその隙に、他のゆっくりが、花壇に殺到した。 「むーしゃ、むーしゃ!しあわせえええぇぇぇぇぇ!!!」 「おいしいよおおぉぉぉぉぉ!!!ぜんぶれいむのだよおおぉぉぉぉぉ!!!」 「たべっほうっだいっなんだねえええぇぇぇぇぇぇ!!!」 見る間に、手塩にかけられた色とりどりの花たちがゆっくりの腹に収まっていった。 「歳を取ったライオンと狐とババ抜き 下」 無残に荒らされる花壇を見つめて涙を流しながら、それでも挨拶を 止めないゆうか。その姿にまりさは大いに溜飲を下げる。 満腹したゆっくりたちは、誰からともなく今度はゆうかをせいっさいっしようと言いだした。 にやにやとゆうかに近づいていく群れのゆっくりたち。その貧弱な牙がゆうかにかかろうとした時、 「ゆっくりしていってね!」 「「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!……ゆ?」」」」」」」」」」 群れのゆっくりは、一斉にまりさに挨拶をする事になる。 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!!」 「「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!!」」」」」」」」」」 戸惑いながら挨拶し続ける群れのゆっくり。動けない。挨拶し続けるしかない。 そして気付く。挨拶を止めた時、自分たちはどうなる? 無残に荒らされた花壇。涙も枯れ、赤い目をして目の前で微笑むゆうか。 全員の顔が引きつる。声が掠れる。あんよが震える。でも、止めるわけにはいかない。 公園にゆっくりの声が輪唱する。ライオンの巣に、帰りの足跡は無いのだ。 あとがき いつものように思いついたネタを即興で書いて、スレに書き込もうとする。 書きこめない。何故。ふたばに書きこむのはヵ月ぶりなのに。 仕方が無いので過去に書いたものもまとめてSSとして投稿する事にしました。 これからも、忘れられない程度の頻度で投稿していきたいな、と思っています。 それではここまで読んでくださったあなたに感謝をささげつつ、今日はさようなら。 by ゆンテリアあき 感想掲示板 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278666671/l50 モチベーションの維持、及び次作以降のクオリティアップのため、 お手間かと思いますが、良かった点、悪かった点、要望、一言等何でも良いので 書きこんで頂けると嬉しいです。 書いた物一覧 anko0151 ある加工所の一幕 anko0177 ご用事なあに? anko0203 1人は みんなのために anko0207 数は罪 数は暴力 数は罰 上 anko0211ある日の加工場の一幕 2 anko0247 かわいいおちびちゃん anko0280 数は罪 数は暴力 数は罰 中 anko0356 そりゃまぁその通りなのかも知れないがね anko0359 ビスケットと名画 anko1117 ほぞんしょくのつくりかた~Persimmon trap~ anko1979 シュガースナップ・シュガースナッフ anko2229 シュガースナッフ・メロウスイート anko2539 都会の輪舞 anko2629 都会の輪舞2 anko2661 ヒヨドリの幸せ 上 anko2662 ヒヨドリの幸せ 下 以上全て、ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー様に収録されています。
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※既出ネタかもしれん ※ヘタな文章 ※オレ設定 ※うんうん・しーしーネタ ※直接的な虐待はなし ※人間が出ます ※ゆっくりが賢くて、人間が餡子脳です ゲス愛で派 ゲス。 それは、文字通り、下種なゆっくり。 世の中にあるものすべて、自分のためだけに存在しており、 自分を中心に世界が回っていると信じているそんなゆっくり。 信じているというより、それ以外の考えなど、発想そのものがない。 平気で仲間を裏切る。仲間どころか家族や実の子すら犠牲にして生き残ろうとする。 人のモノを平気で奪う。家、飾り、食料、番、子供、なんでも奪う。 というか、それは自分のものだと最初から主張する。 人間に対して、根拠もなく、ゆっくりの奴隷だと言い張る。 一度も人間と接したことがないのに、「おまえは俺の奴隷じゃないか」とか言って来る。 朝令暮改もいいところ。 奴隷と言っておきながら、人間の圧倒的な力を見たら、ケツを振りながら、 「ご主人さまぁ~」と気色の悪い声を出しながら、媚を売ってくる。 恩を仇で返す。 というか、そもそも、恩って何?仇って何? 「そんなことより、あまあまさんをもってこい」といつも叫ぶ。 少なくても、人間だったら、 まず関わりたくない人種。 隣人だったら、悩みの種に違いない。 そんな正確なゆっくりをゲスと呼ぶ。 だが、世の中には、そんなゲスが好きな人間もいたりする。 彼らは、世間ではゲス愛で派と呼ばれる。 ゲスのような生き物のどこに愛着が沸くのか、 普通の愛で派や虐待派には、理解できない。 どうやら、ひと昔前に流行った、ツンデレっぽいっていう感覚で、 ゲスが可愛いという風らしいが・・・。 全く持って理解できない。 『れいむちゃんんんん!!!!今日もゆっくりしていってねぇええええ!!!!』 「ゆ・・・ゆっくり・・・して・・・」 『ゆ~ん!!!!挨拶がちゃんとできないれいむちゃんはゲスだねぇ!!!! ゲスなゆっくりはゆっくりできるよぉおおお!!!!』 「お・・・に・・・い・・・さん・・・」 ここに一人のゲス好きな人間と一匹のれいむがいる。 この人間はゲス愛で派である。 ただし、通常のゲス愛で派とは違う。 そして、このれいむは・・・。 ゲスではない。人間をゆっくりさせる教育を受け、 金バッチを取得した良ゆっくりなのである・・・。 ~~~~~~~~~~~~~~~ 「ゆっくりしていってね!!!!」 金バッチを取得したれいむは、やっと人間に飼われる事になった。 金バッチを取得するまでに、今まで過酷なトレーニングを積んできた。 人間とゆっくりの違い、人間が好むゆっくりの言動や行動、人間の機嫌を損ねない行為、 人間のルールを守ることの大切さ、飼い主と良好な関係を築くためのコミュニケーション力、 もし人間の機嫌を損ねてしまった場合の対処方法、マニュアルに沿った行動ではなく、自身の意思で行動する思考力etc・・・ 並大抵のゆっくりでは、覚え切れないくらいの躾や教育を受け、誰もがゆっくりできるという自負を持った、 金バッチになる。そして、飼い主をすごくゆっくりさせる。それが自分の存在理由だと、れいむは考えていた。 『れいむちゃんんんん!!!!ゆっくりしていってねぇええええ!!!!!』 この飼い主は、すごく自分を可愛がってくれる。 ゆっくりショップのお店で目が合った時、 『れいむちゃんんんん!!!!すごっくゆっくりしてるねぇえええええ!!!』 と、店内に響くくらい大きな声を出して喜んでくれた。 れいむは確信した。この人間さん、このお兄さんをゆっくりさせてあげようと。絶対に。 『れいむちゃんんんん!!!!可愛いねぇえええ!!!』 「ゆ~☆ありがとうおにいさん!!!!!」 『れいむちゃんんんん!!!!れいむちゃんは世界で一番ゆっくりしてるよぉおお!!!』 「ゆ~♪おにいさん!!!!そんなにほめてもなにもでないよ~!!」 『ゆんゆん!!!そんな態度もまた可愛いよぉおおお!!!!!』 そこには、正にれいむの求めるゆっくりがあり、れいむもまた、 お兄さんの求めるゆっくりがあるのだと信じていた。 自分をベタ褒めするお兄さんもかっこいい。 そうだと思う。そして、れいむはつい、言ってしまった。 「ゆん!!!おにいさんこそかっこいいよ!」 『・・・。ハッ?何言ってるの???』 「ゆっ?」 さっきまで、笑顔だったお兄さんの顔が硬直した表情になった。 ゆっくりとはかけ離れた表情。 『おまえ・・・。』 「お・・・おに・・いさ・・・ん?」 『どういうことだぁぁぁああああああ!!!!俺がカッコいいってええええええええ!!!』 「ゆ・・・ゆ・・・ゆっくりしてねぇ!!おにいさんん!!!」 れいむは、金バッチを取得するために学んだことを思い出した。 人間さんがれいむを褒めたら、れいむも人間さんのことを褒めてあげよう。 そういう関係がお互いをゆっくりできる関係にできるという風に聞いたのに・・・。 お兄さんがゆっくりしていない・・・。 ゆっくり出来ない叫び声を上げている。 あのゆっくりショップの店内で叫んでいた歓喜の叫び声とは、比べ物にならないくらい・・・。 自分の肌が叫び声の振動で破れるんじゃないかと言うくらいの叫び声・・・・。 『そこはぁあああ「ゆふん!れいむのびぼうにしこってもいいのよ!!」だろうがぁああああ!!!』 「ゆぅ・・・!?なにをいって・・・るの・・・?」 なんて高飛車な発言なんだろう。相手をバカにしたような言い方。 自分の美貌に酔いしれとでも言わんばかりの高慢さ。 さらに「しこる」!? そんなこと、下品なことを言えるわけがない。 恥ずかしいよ。そんな言葉は・・・。 『あああぁぁっぁああああああああ!!!!それもおかしいいいいい!!!!! そこはぁあああ「なにをいってるの?ばかなの?しぬの?」だろうがぁああああ!!!!』 「おにいさん!!!ゆっくりおちついて!!!れいむがなにかわるいことしたならあやまるよ!!!」 自分を選んでくれた飼い主に向かって、馬鹿とか死ねとか言えるわけがない。 自分はすごくゆっくり出来ている環境にいると思っている。 そんなところに連れてきたお兄さんに間違ってもそんなことは言えるわけがない。 何か悪いことをしたのか?ならば謝ろう。 何をしたのか分からない。もしかしたら、自分の勉強不足で、知らず知らずのうちに、 傷つけたのかもしれない。お兄さん、ごめんなさい!!!! 『ぎゃあぁぁぁぁああああ!!!!なんで謝ったりするんだよぉおおお!!! 「ゆっくりできないにんげんはゆっくりあやまってね!!!」ってお前が言うんだろうがぁあ!!!!』 「おおおおおにいさんんん!!!いみがわからないよぉおおお!!!!」 『俺の方こそ意味がわからんんんん!!!!!』 れいむは混乱した。 どうして??? お兄さんはこんなにゆっくりしていないんだろう!!! どうして・・・!!!! 「どうして・・・おにいさんは・・・そんなことを・・・いうの・・・」 『ゆゆがかkぁkjふぁkjfkぁdjklzchんfxkjbrvcgkjtsらdljhにm!!!!!』 『ぞごばぁぁぁああああ!!!!「どぼぢでぞんなごどいうのぉおおお!!!!」だろうがぁぁあああああ!!!!』 『ああぁぁlっぁあぁあああああっぁぁぁぁぁぁぁっぁあああああ!!!!!!!』 「お・・・おにいいさんんんん!!!!!ゆっくりしてぇええええええ!!!!!」 れいむはわからなかった。 なぜお兄さんがこんなゆっくり出来なくなったのか・・・。 それから、お兄さんは度々、れいむと生活している中で、 れいむが、お兄さんをゆっくりさせようと、思いやりを思った行動で、 ゆっくり出来ない声を出すことが多くなった。 『れいむちゃん?そういえば?うんうんさんはちゃんと出してる? お兄さん、れいむちゃんがうんうんさんしてるところ見た事ないよ?』 「ゆ・・・?おにいさん・・・?そんなはずかしいこといわないで・・・。」 『恥ずかしいことじゃないよ。お兄さんは飼い主なんだから、心配して当然。ちゃんと出してる?』 「うん・・・。出してるよ・・・。」 なんだ・・・。いきなり変な話をするから、ビックリした。 お兄さんは変わってるけど、れいむのことを心配してくれてるんだ。 ちょっと嬉しいなぁ・・・。さすがにうんうんさんの話をするのは恥ずかしいけど・・・。 『どこで・・・!?』 「それは・・・おといれさんでだよ・・・あたりまえでしょ・・・ いわせないでよ・・・れいむ・・・はずかしいよ・・・」 『どぼぢでぞんなごどずるのぉおおおおおおおおおおぉおおおお!!!!!!』 「ゆっ!?」 れいむは信じられなかった。 うんうんさんはトイレでするのが当たり前じゃないのか? じゃあ、どこでするというのか? うんうんさんは汚いもの。そんなものはお兄さんだって知ってるはず。 どうしてそんなこというのってこっちが言いたい。 お兄さんは一体何が望みなんだ・・・!? 『普通はぁあああああ!!!! オレの前でぇええええ!!!! 「すぅううぱああぁあああうんうんんんたいむぅううう!!!! はじまるよぉおおおお!!!!! んんんほおぉおおおおおおぉおおおお!!!! すっきりぃいいいぃいいい!!!!!」 って言ううんだろうがぁぁあああっぁああああ!!!!』 「そ・・そんなはずかしいことはしないよ・・・」 『うぞだああぁあああああぁああああ!!!!!!! こんなのゆっくりじゃないぁいいいいぃいいい!!!!!』 お兄さんのゆっくり像・・・。 それはどうやら、ゲスらしい。 お兄さんはゲスがゆっくりできるんだと思っているみたいだ。 そんな・・・。 金バッチを取る時、養成所の先生が言っていた。 ゲスなゆっくりは、ゆっくり出来ない。 人間さんはゲスなゆっくりを見るとゆっくり出来なくなるって。 なのにどうして・・・。 お兄さんのゲスゆっくり願望は次第に大きく膨らんでいった。 れいむの予想をはるかに超えて・・・。 ある時には、 『れいむちゃんんんのぉおお!!!! しーしーをぉおおお!!!顔にかけてぇええええええ!!!』 とか、 またある時には、 『「ゆっくりしねぇええ!!!!』って言いながら、体当たりしてぇええええええぇえ!!!』 とか、 またまたある時は、 『オレのことを「くそどれい!!!」って言って罵ってぇええええええ!!!!!』 とか・・・。 れいむの今までの金バッチを取るために、習得してきたこととは、 逆のことを望んでくることが多くなった。 れいむも、腹をくくって、ゲスに徹しようと思った。 それがお兄さんが望むことなら、自分の習ってきたこととは違うけど、 頑張ろう。お兄さんがゆっくりできるなら、自分もゆっくりできるはず・・・。 そう信じて、頑張ろうとした。 顔面を真っ赤にしながら、 「す・・・ぱぁ・・・ぅんぅ・・・た・・ぃ・・ぅ・・・」 と、すごく恥ずかしそうにお兄さんの前でうんうんをして見せた。 恥ずかしさのあまり、体が爆発するんでは? むしろ、爆発してほしい。もうこんなことはしたくない・・・・。 そう思いながら、うんうんをした。 『ヒッハァァァァッァァアアアアアアアア!!!!!! ウンヌンンンヌンウウウウhンヌンンン!!!!!!!!! ひゃあぁぁぁぁぁあっぁぁぁアァァァァァァァllッァアアアア!!!!!!』 その時のお兄さんの表情。 それはゆっくりとは別次元。 顔中から大量の汗を流し、目尻が垂れ下がり、瞳は焦点が合ってない。 両目から、哀しい出来事があったわけでもないのに、 物凄い勢いで涙を流し、鼻からは鼻水を・・・口からは涎を出しながら、 体を小刻みにピクピク痙攣しながら、回りを転げまわっている。 「く・・・くそどれぃ・・・?」 自分の飼い主に向かって、それもゆっくりしてほしい相手に向かって、 糞奴隷とゆっくり出来ない言葉を言った。 自分は、お兄さんが大好きだ。好きで好きでたまらない。 それなのに、どうしてこんなことを言わないといけないのか・・・。 れいむは泣きそうになりながらも、我慢した。 『ゆぴぃいぃいいいいいいlっぃいいいいいいl!!!! ゆがぁljdkljfkldjfkdfだんfだん!!!!!!! ゆbぇぇ江jfkdjfヵjklふだfまl!!!!!』 声にならない声を上げながら、 喜んでいるのか苦しんでいるのかさっぱりわからない。 ただ、ひとつ言えるのは、 こんなのゆっくりじゃない。 お兄さんはゆっくりしていない。 れいむにはそう見えた。 自分は、飼い主の人間さんをゆっくりさせるのが使命だと思っていた。 だが、それは無理な話なのではと思ってきた。 ゲスなゆっくりになれば、お兄さんをゆっくりさせてあげられると、 思ったが・・・。 なんだか・・・。それも無理なようだ。 ゲスな行為をすればするほど・・・。 お兄さんは壊れていく。 でも、お兄さんはそれをゆっくりだと思っている。 しかし、れいむにはそれをゆっくりだとは思えない。 そして、れいむもゆっくりできない。 お兄さんのゆっくりがれいむのゆっくり。 れいむのゆっくりがお兄さんのゆっくり。 そういう風に学んできたけど・・・。 何だか・・・もう・・・・。わけがわからなくなった・・・。 れいむはもう限界だよ・・・。 ~~~~~~~~~~~~~~~ 『れいむちゃんんんん!!!!今日もゆっくりしていってねぇええええ!!!!』 「ゆ・・・ゆっくり・・・して・・・」 『ゆ~ん!!!!挨拶がちゃんとできないれいむちゃんはゲスだねぇ!!!! ゲスなゆっくりはゆっくりできるよぉおおお!!!!』 「お・・・に・・・い・・・さん・・・」 ここに一人のゲス好きな人間と一匹のれいむがいる。 この人間はゲス愛で派である。 ただし、通常のゲス愛で派とは違う。 すべてのゆっくりをゲスだと思い込んでいる、 いや、それ以外のゆっくりもいると言うことを知らない、 無知なゲス愛で派である。 そして、このれいむは・・・。 ゲスではない。金バッチを取得した良ゆっくりなのである・・・。 飼い主の人間をゆっくりさせたいために、ゲスになろうとして、 ゲスになりきれず、肉体的にも精神的にも限界に近づいているゆっくりなのである・・・。 あとがき ゆっくりがまともな思考、人間が餡子脳っていう設定のSSは、 今更って気もするけど、つい書いてみた。 あと、あまあまさんちょうだいね!! 他の作品 * ふたば系ゆっくりいじめ 149 鞭打 * ふたば系ゆっくりいじめ 155 糞饅頭 * ふたば系ゆっくりいじめ 159 ユグルイ その1 * ふたば系ゆっくりいじめ 162 ユグルイ その2 * ふたば系ゆっくりいじめ 168 ユグルイ その3 ユグルイ その3について すみません。ラストは、超展開すぎました。 出勤前だったので、勢いのみで書いてしまいました。 強化外骨格にしておけば、まだシ○ルイっぽさを残せたかも・・・。
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『ふぇいと(前)』 14KB いじめ 後編は来月中にUP予定 補足 ・前編(テンプレ的導入パート。長くなりそうなので分けてみた。後編はもうしばらくお待ちください) ・いじめ(虐要素はありません。後編から本気出す。多分) ふぇいと(前) 「たっだいまぁ~。アンタら、いい子にお留守番してたぁ?」 「「ゆっくりおかえりなさい!おねーさん!」」 帰宅した女性を玄関で出迎える二匹の飼いゆっくり。 成体のゆっくりれいむとゆっくりまりさだ。 「おねーさん!ゆっくりおねがいがあるよ!」 「ぬわっ!?・・・・・・帰宅早々何?そんなアホ面並べて改まった顔して。まあ、詳しい話は夕飯の後にでもゆっくり聞こうじゃないの。とにかくボクぁお腹がペコペコなんよ」 突然の『お願い』とやらに訝しがりながらも、飼い主のお姉さんは夕飯の支度にとりかかった。 といってもスーパーで買ってきた半額弁当を温めて、ゆっくり達の餌皿にゆっくりフードを盛るだけなのだが。 「ぶっ!あ、あかちゃんが欲しい!?」 ゆっくり達の『お願い』を聞いたお姉さんは思わず食後のお茶を噴き出しそうになった。 「そうなんだぜ!まりさとれいむがふうふになってもうたっくさんたったのぜ!そろそろあかちゃんがほしいのぜ!」 「たっくさんってアンタら・・・・・・たった一カ月じゃないのさ・・・・・・」 「あかちゃんはゆっくりできるんだよぉ~!」 目をキラキラと輝かせながら赤ちゃんの魅力とやらを語るゆっくり達にお姉さんは思わず顔をしかめてしまう。 「・・・・・・れいむ、アンタが一匹で留守番してるのが寂しいって言うから番のまりさを買って上げたんじゃない。その時した約束、覚えてないの?」 「ゆ!?ゆ、ゆ、ゆぅ・・・・・・それは、その・・・・・・」 「番は買ってやるが、子供は作らないこと。それはまりさも購入時の契約内容にもあったはずだけど?」 「ゆ!?そ、それはぁ・・・・・・たしかにそうなんだぜがぁ・・・・・・」 動揺し始める二匹のゆっくり達。 一応、覚えてはいたようだ。 が、その約束がある上での『お願い』ということらしい。 「番がいるんだから、もう留守番してても寂しくはないでしょ?これ以上ゆっくりを飼うのはウチの経済的にも苦しいの」 「でもでも、やっぱりあかちゃんがいたほうがもっとおねーさんをゆっくりさせられるだろうし・・・・・・」 「そ、そうなのぜ!これはおねーさんのためなんだぜ!」 (嘘だな) お姉さんは二匹が自分のゆっくりの為にあかちゃんを欲していることをあっさりと看破した。 所詮は銀バッチランク。食事やトイレの躾け等は出来ていても、ゆっくりとしての本能だけは捨てきれていない。 (あ~あ、こんなことなら去勢しとけばよかったかなぁ) 可哀想だと思って去勢の処置を免除していたのが裏目に出たようだ。 それでも勝手に子作りをせず飼い主の了承を得ようとしているだけマシなのかもしれないが。 「おねがいだよ!おねーさん!このとーり!」 「おねがいしますなんだぜぇぇぇぇ!!」 二匹のゆっくりが額を床に押し付けるように懇願している。 ゆっくり流の土下座のポーズである。 「・・・・・・はぁ、わかったわかった。だから頭を上げて。これじゃまるでボクが悪者みたいじゃないか」 「ゆっ!?そ、それじゃあ!」 「・・・・・・一匹だけ。それ以上は面倒見切れないからね」 お姉さんの了承を得ることができて二匹の表情がパァと華やいだ。 「ゆゆぅ~ん!ゆっくりありがとう!おねーさん!」 「さっすがおねーさん!はなしがわかるのぜぇ!そこにしびれる!ゆっくりしてるぅぅぅ!」 「お世辞はいいから今度こそ約束は守りなさい。いい?一匹だけだからね。そこんとこよーく理解しておくこと」 「「ゆっくりりかいしたよ!!!」」 返事だけは一丁前な二匹にお姉さんは思わず苦笑いを浮かべるのであった。 翌日。 「「ゆっくりおかえりなさい!おねーさん!」」 「おー、れいむ。早速作ったのか」 仕事から帰ったお姉さんはれいむのお腹がポッコリ膨らんでいるのに気がついた。 「ゆふふ!そうなんだよ!まりさったらとってもじょうねつてきなあぷろーちさんをしてくるからぁ」 「れいむがかわいすぎるからしかたがないんだぜ!まりさはわきあがるりびどーさんをおさえきれなかったんだぜ!」 お互い頬を赤らめながらイチャイチャするゆっくり達。 以前からも仲は良かったが、子供を作ることを許可されたことで更に絆を深めたようだ。 さしずめ友達から恋人へランクアップしたといったところか。 「はいはい、玄関でイチャつかないの。さっさと夕飯にしよう。今日はお腹の赤ちゃんが元気に育つよう特製ゆっくりフードも買ってきてあるからねー」 「ゆわぁ~!!おねーさん!ゆっくりありがとー!!」 いつもより美味しいゆっくりフードを食べられ、子供もできて、何一つ不自由することが無い生活。 そんなしあわせに二匹はとてもゆっくりすることができた。 そして、お姉さんもそんな二匹の様子を笑顔で見守りながら、カップラーメンをズズズと啜るのであった。 「うまうま。やっぱカレー味こそがヌードルの至高だわ」 三日後。 「う、うまれるよ・・・・・・!!」 「ゆゆっ!?れいむしっかりするんだぜ!!」 いよいよれいむの出産の日がやってきた。 れいむは必死にまむまむに力を入れて出産の痛みに耐えている。 まりさも、いつ赤ちゃんが飛び出してもいいように帽子を構えてスタンバイする。 「ゆぐ、ゆぐぐぐ・・・・・・うばれるっ!うばれるよぉぉぉ!!」 ミチミチと音を立ててまむまむが『くぱぁ』と広がってゆく。 「ゆっくちうまれりゅよ!きゃわいいれいみゅがうまれりゅよ!」 「ゆゆぅ~ん!かわいいあかちゃんのおかおがみえるのぜぇ!!れいむ!がんばるんだぜぇ!あとすこしなんだぜぇ!」 スポーーン!! 「ゆっくちうまれちゃよ!!」 れいむのまむまむから勢いよく飛び出す赤ちゃんれいむ。 それをまりさがしっかりと帽子でキャッチする。 「やったのぜ!れいむ!うまれたんだぜ!れいむによくにたかわいいあかちゃんなんだぜぇ!・・・・・・れいむ?」 無事に子供が生まれたことに喜ぶまりさだったが、れいむの様子がおかし事に気がついた。 れいむの顔はまだ苦悶の表情のままなのだ。 「ど、どうしたんだぜ!?れいむ!!」 「ま、まだだよ・・・・・・!まだ・・・・・・うばれるよぉぉぉ!!」 スポーーン!! 再びれいむのまむまむから赤ちゃんゆっくりが飛び出した。 「ゆゆ!?またなのぜ!?」 不意を突かれたことで慌てるまりさであったが、何とか無事に第二子も帽子でキャッチすることに成功した。 「ゆっち!まりちゃはまりちゃなのじぇ!」 「ゆゆぅ~ん!こんどはまりさにのあかちゃんなのぜぇ!!とってもりりしいおかおのはんさむさんなのぜぇぇ!」 二匹の子供を産んだことでようやくれいむも落ち着いたようだ。 まりさに支えられながら、生まれた子供達の顔を覗き込む。 「ゆ、ゆぅぅぅぅ!!かわいいよぉぉ!!とぉ~ってもゆっくりとしたあかちゃんだよぉ~ん!!」 あまりの愛くるしさに涙を流して喜ぶれいむ。 「ゆゆ?おとーしゃんとおかーしゃん?ゆっち!ゆっち!れいみゅ!ごあいしゃつするのじぇ!」 「ゆっくち!そうじゃにぇ、まりちゃ!おかーしゃんとおとーしゃんにゆっくちとしたあいしゃつしゅるよ!」 二匹の赤ちゃんゆっくりはモソモソと両親の前に並ぶと、キリッ!とした表情を浮かべながらゆっくりお決まりの挨拶をする。 「「ゆっきゅちしちぇいっちぇにぇ!!!」」 「「ゆっくりしていってね!!!」」 両親もまた、歓喜にうちふるえながらその挨拶に応えるのであった。 「お、生まれたかー」 ちょうどそこへお姉さんもやってきた。 今日は仕事が休みのため、先ほどまで寝ていたようだ。 下着にYシャツ1枚だけのだらしない格好で寝ぐせのついたボサボサ頭をバリバリと掻いている。 「ゆゆ!おねーさんみてね!!とってもゆっくりとしたあかちゃんたちでしょ!!」 「おーおー、そろいもそろって親に似た能天気な顔してるねぇ。うんうん、可愛い可愛い。キモ可愛い」 お姉さんも寝ぼけ眼で二匹の誕生を祝福してくれた。 「これからみんなでゆっくりとしたかていをきずいていこうね!!」 「かわいいおちびちゃんなのぜ!おとーさんがぺーろぺーろしてあげるのぜ!」 「ゆっち!ゆっち!くすぐっちゃい!でもとってもしあわせー!なのじぇ!」 「じゅるいじゅるい!れいみゅもぺーろぺーろしちぇ!」 「ゆふふ、れいむのおちびちゃんはおかーさんがペーろペーろしてあげるよ?ぺーろぺーろ!」 「ゆっきゃ!ゆっきゃ!おきゃーしゃんだいしゅきー!!」 早速家族のスキンシップを楽しむゆっくり一家。 そんな幸せいっぱいの家族を欠伸をしながら見つめていたお姉さんは親ゆっくり達に質問した。 「・・・・・・んで、どっち育てんのー?」 「「ゆゆ?」」 ここで二匹はお姉さんとの約束をようやく思い出した。 「おでがいだよぉ~!どっでもゆっぐりどじだあがじゃんなんだよぉ~!!」 「ばりざだぢにはどっぢがひとゆなんでえらべないのぜぇぇ!どっぢもだいっぜつなおてぃびじゃんなんだぜぇぇ!!」 二匹のゆっくりは涙を流しながら額を床に擦りつけるようにお姉さんに懇願している。 育てられる子供は一匹だけ。 それは予てよりの約束であったが、選ばれなかった方は加工所に引き取ってもらうと言うのだ。 流石に二匹もそれには黙っていられなかった。 加工所に引き取られるということは殺されることと同意義なのだ。 「とはいってもなぁ。可哀想だけど不要なゆっくりは殺処分か加工所送りが決まりだしねぇ。てゆーかさー、そもそもアンタ達が二匹も子供作るからいけないんじゃん。一匹だけだって言っておいたのにさー」 土下座するれいむの頬をつま先でチョンチョン突きながら責任を転嫁するお姉さん。 「ぞんなごどいっだっでじょうがないでしょぉぉぉ!?うばれでぐるあがじゃんのかずなんで、ちょうせつできるわけないぼぉぉん!!」 「ま、それはそうなんだけどさ。予め言っておけばなんとかなるかなぁ・・・・・・って思ってたけど、やっぱりだめだったか。不思議ナマモノのくせに変なところで融通きかないよね」 あっさりとれいむの主張を認めるお姉さん。 元よりゆっくりとは多産のナマモノであることは理解していた。 むしろ二匹だけで済んだ事の方が珍しいのだ。 「ん~~・・・・・・わかったわかった。こっちにも非があったってことで、何とか引き取って育ててくれる人を探してみるから。それで妥協しなさい」 「「あ、ありがとぉぉぉ!!」」 こうして何とか一命を取り留めた二匹の赤ゆっくり達。 だが、これから過酷な運命に翻弄されることになるとは、本ゆん達はまだ気付く訳もなく。 「「ゆっくちぃ~?」」 何故か涙を流し「よかったね!」と言いながらペーろペーろしてくる両親を不思議そうな瞳で見つめるのであった。 一ヶ月後。 二匹の赤ゆっくりたちも子ゆっくりサイズに成長した頃、予てより探していた子ゆっくりの引き取り先が決定した。 いよいよ別れの時がやってきたのである。 「おちびちゃん、げんきでね!ゆっくりしていってね!」 「はなればなれになっても・・・・・・おとーさんもおかーさんもおちびちゃんのことはわすれないんだぜ!」 「ゆん!れいみゅも・・・・・・やさしいおとーしゃんとおきゃーしゃん、まりちゃのことはわすれにゃいよ!」 引き取られるのは子れいむとなった。 これは子れいむ本ゆんの希望でもあった。 「きゃわいいれいみゅならどこにいっちぇもきゃわいがっちぇくりぇるよ!れいみゅはれいみゅのきゃわいさをもっちょいりょんなにんげんしゃんにおしえて、ゆっくちさせちぇあげちゃいよ!」 他者をゆっくりさせてあげたいという崇高な意志に感動し、両親も子れいむを送り出すことに同意した。 それに可愛い子れいむなら引き取り先でも可愛がってもらえると確信していた。 だが、最期までゴネ続けたのは姉妹の子まりさであった。 「ゆびぇぇぇああ!!いやなのじぇぇぇぇ!!まりちゃ、れいみゅとおわかれしたくないのじぇぇぇ!!」 泣きながら子れいむにすがりつき、すーりすーりを繰り返している。 生まれてからずっと一緒に育った姉妹なのだ。別れが辛くなるのも当然であろう。 しかも、引き取られた後はもう二度と会うことが出来なくなるのだ。 これは引き取り先が出した条件であった。 最初はこの条件に親ゆっくり達も異議を唱えたのだが「それがダメなら加工所行きしかない」と言われては了承するしかなった。 「大丈夫だよ、まりちゃ。引き取ってくれるのは職場の先輩でね。ゆっくりを何匹も育ててきた凄腕のブリーダーでもあるから、むしろれいみゅの将来は安定しているようなもんだよ。まあ、成体になったらショップに引き取られることになるだろうから、今のうちに別れを済ませておいた方がいいって事なんだけどね」 「ゆわぁぁぁん!そりぇじぇもいやなのじぇ!いやなのじぇぇぇ!」 お姉さんもフォローを入れるが、それでも子まりさは泣きやまなかった。 両親も困り果てていると、子れいむが子まりさの涙に濡れた頬をぺーろぺーろと舐めはじめた。 「まりちゃ、かなしまにゃいでにぇ。はなればなれになっちぇも、れいみゅはいつでもまりちゃのそばにいりゅよ」 すると子れいむは自身の左揉み上げを束ねていたお飾りを外し、それを泣き続ける子まりさのおさげに付けてあげた。 「ゆゆ!?」 「お、おちびちゃん!?」 子れいむの思いもよらぬ行動に両親が驚きの声をあげる。 頭のリボンほどではないが、揉み上げのお飾りもれいむ種ゆっくりにとっては重要なものなのだ。 「まりちゃ。さびしくなっちゃら・・・・・・しょれをれいみゅだとおもっちぇゆっくりしちぇね!!」 「れ、れいみゅ・・・・・・。あ、ありがちょう、なのじぇ!そりぇなら、まりちゃも・・・・・・これ、あげるのじぇ!」 今度は子まりさが自身のおさげに付けていた白いリボンをれいむの揉み上げにつけてあげた。 「ゆわぁ、まりちゃのおりぼんしゃん!とってもきゃわいいにぇ!」 お互いのお飾りを交換し、姉妹は新しいお飾りを嬉しそうに見つめている。 そんな我が子達の様子をにこやかに見守る母れいむであったが、父まりさの方は少し心配そうな顔をお姉さんに向けた。 「ゆぅ、おちびちゃんたちがうれしそうなのはいいけど・・・・・・おねーさん、だいじょうぶなのぜ?」 「ん?ああ、お飾りね。いいんじゃない?人間はゆっくりほどお飾りには固執しないし、むしろまりさのりぼんをしたれいむなんて珍しくて重宝されるかもね」 お姉さんのお墨付きがとれて、ホッとする父まりさ。 そこに『ピンポーン!』と、呼び鈴の音が聞こえてきた。 「あっ!先輩きたかな。はいは~い!」 お姉さんは慌ただしくパタパタと玄関の方へと向かっていった。 「おちびちゃんたち。いよいよおわかれだね。・・・・・・もう、だいじょうぶ?」 「ゆっ!まりちゃはもうだいじょうぶなのじぇ!このおかざりしゃんがあればまりちゃはいつでもれいみゅといっしょなのじぇ!!」 「まりちゃ、れいみゅたち・・・・・・どんなにはなれていちぇもなかよししまいじゃよ!!」 二匹の子ゆっくりたちは最期の別れのすーりすーりをする。 そして子れいむは両親にもすーりすーりをする。 「ゆ、ゆぐっ!お、おちびちゃん!げんきで、ね!からだにはきをつけてね!ゆぐぅぅ!」 「おおおちびちゃんはっ!さいっこうにかわいい!まりさたちの!じまんのおちびちゃんなんだぜぇぇ!!」 思わずむせび泣きそうになるのを必死にこらえる両親たち。 子まりさが悲しみを乗り越えたのだ。親である自分達がここで泣く訳にはいかない。 そこにお姉さんが、男性をつれて戻ってきた。 「アンタ達、こちらがれいみゅを引き取ってくれるお兄さんだよ。ちゃんとご挨拶しなさい」 「やあ、みんな!ゆっくりしていってね?」 お兄さんは爽やかな笑顔を見せながら挨拶をした。 「ゆっ!おにーさん!ゆっくりしていってね!これから、おちびちゃんをよろしくおねがいしますなんだぜ!!」 「ゆっくりしていってね!れいむのたいじなだいじなおちびちゃん!ゆっくりさせてあげてね!!」 「ああ、君達の大切なおちびちゃんは最高にゆっくりとしたゆっくりになるよう大切に育てさせてもらうよ」 ニッコリと笑顔で答えるお兄さんに、両親たちは人のよさそうな人間であることを感じ取り安心する。 「先輩。コレが引き取ってもらう子れいむッス」 「おにーしゃん!れいみゅはれいみゅだよ!ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!!」 子れいむも満面の笑みを浮かべながらお兄さんに挨拶をした。 そんな子れいむをお兄さんは値踏みをするかのように観察をする。 「うん、ゆっくりしていってね。ふむふむ、なかなか元気で健康的なれいむだ。・・・・・・んん?この子れいむのお飾りは?」 「ゆっくち!れいみゅとまりちゃ、しみゃいのきじゅなのあかしじゃよ!」 「ゆっち!あかしなのじぇ!」 子れいむと子まりさはドヤ顔で自身のお飾りをお兄さんに見せびらかしている。 「姉妹のまりちゃと交換したんス。これくらいなら構わないッスよね?」 「ああ、構わんよ。お飾りはそれほど重要じゃないしな。むしろそれで家族が納得してくれるなら大歓迎だ。それじゃれいみゅちゃん?これからよろしくね。ゆっくりしていってね!」 「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!!」 こうして、子れいむはお兄さんに引き取られることとなった。 「おちびちゃぁぁぁん!ゆっくりしていってねぇぇぇぇ!!!」 「ゆっくり!ゆっくりぃぃぃぃ!していってねぇぇぇぇぇぇ!!」 「ゆっち!ゆっち!」 子れいむを乗せて走り去ってゆくお兄さんの車を、残されたゆっくり一家はいつまでも見送り続けた。 子れいむがお兄さんの元でしあわせーなゆん生を送ることを強く信じて。 いつまでも、いつまでも・・・・・・。 <続> 前作:anko3988_良い夢、神気分
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表示できない漢字 未だに表示できない漢字があるようで、内部のaltech.ttfをfontforgeやgfonteditで見ると、確かにフォントデータが欠落している 場合がある。それで、一通り調べてみることにした。 問題としてどのレベルまでの漢字をサポートしているのかがわからない。とりあえず、CP932であると仮定して、試してみた。 CP932 文字 93A7 透 さざなみフォントからインポートを適応すると、日本語の表示に不必要なフォントを削除し、必要な漢字フォントを追加でき、すべての漢字が表示できるようになる。 MC35UL3ではすべての漢字を表示できるようである。
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『柿の木』 6KB いじめ 日常模様 群れ 自然界 季節ネタです 【柿の木】 暑い夏もようやく終わりを告げ、肌寒い風が吹き始めた頃 我が家の裏山の木々も徐々に色付き始める。 そんな裏山と我が家の間には、なだらかな山裾があり一本の柿の木が植えられていた。 夏の終わり頃から葉が落ち始め、オレンジ色の実が目にも鮮やかに映えている 俺にとっての原風景にも当たる光景だが、ここ数年それをぶち壊すような存在が現れた 言わずと知れた「ゆっくり」だ。 毎年毎年木の下に集まっては、 「ゆっくりしないであまあまさっさとちょうだいね!!」 「まりさ!! れいむのためにさっさとあまあまとってきてね!! ぐずはきらいだよ!!」 「まりちゃにぷくーしゃれたくなかっちゃら、しゃっしゃとあまあまちょうだいね!!」 など、一日中喚き散らしているのだ。 平日なら仕事に行っているので実害も無いが 休日の朝っぱらから甲高い声で起こされるのは不愉快以外の何者でもない。 今日こそは奴らを黙らせる為に、かねてよりの計画を実行した などと言うと聞こえは良いが、単にゆっくりに柿の実を採ってやるだけである。 家の裏手に置いてあるスライド式の梯子を持って柿の木に近づくと 「ゆゆっ?! にんげんがなんのようかだぜ!!」 「これはれいむのあまあまだよ!! じじいはあっちにいってね!!」 力量も弁えずにケンカ腰のゆっくり達 「お前達じゃ何万年経っても取れないから、手伝ってやるよ」 そう言いながら梯子を伸ばし始めると 「ありすのどれいになりたいだなんて、なかなかとかいはなどれいだわ!!」 「いまごろやってくるなんて、どれいのくせにゆっくりしすぎなんだぜ!!」 「どれいはさっさとあまあまをけんっっじょうしてね!!」 奴隷コールが返ってきた。 ゆっくりの戯言を無視しつつ梯子を上り始める 俺が幼い頃から立っている木なので、最上部は地上から5メートル程にもなる 高所恐怖症ではないが、この高さになると僅かに恐怖感も出てくる。 一際太い枝に腰を落ち着けて、直ぐ傍の実をもぐ 「誰が一番初めにあまあまを貰うんだ~?」 声を掛けた途端下では大騒ぎになった 「れいむだよ!! れいむがいちばんだよ!!」 「なにいってるのぜ?! いちばんはまりさにきまっているのぜ!!」 「れいみゅだよ!! せかいのあまあまはみんなれいみゅのものだよ!!」 「とかいはなありすがいちばんにきまってるでしょぉぉぉ!!」 皆、我先にあまあまを食べようと醜い争いを繰り広げているので 「誰でも良いから受け取れよ」 言いながら柿から手を離した。 「れいむがいちばんだよ!!! ゆあ~『ドスッ』びゅっ!!」 地上高約4メートルの高さからの自由落下は、柿の実を弾丸の様に加速させゆっくりを貫いた。 同属の死に地上は大混乱と思いきや・・・。 「ゆっへっへっへ!! まりささまのあまあまをうばおうとするからこんなめにあうんだぜ!!」 「れいむのようないなかものには、あまあまはにあわないわ!!」 ライバルが減った事に喜んでいた・・・。 「このあまあまはまりささまがゆっくりたべてやるんだぜ!!」 言うが早いかれいむの返り餡の付いた柿をかじり始めた。 「む~しゃむ~し・・・ ゆっぎゃ~!!! これどくはいっちぇるぅぅぅ!!!」 「ま、まりさ!!! ゆっくりだよ、ゆっくりしてぇぇぇ!!!」 柿の実を一齧りした途端悶え苦しむまりさ、それはそうだろう野生に生ってる柿は殆どが渋柿だ しかも初秋の柿など人間用でも甘さなどカケラも無い。 実の硬さも中々の物で、とある人物に「果物は鈍器だ!」と言わしめるほどだ 饅頭ごときの身で対抗する術など無い 「あえて言おう、クズであると!!」 総帥ごっこをしている内に、流石に身の危険を察知したのか ゆっくり達がモタモタと逃げ出し始めた。 「まりさはゆっくりにげるんだぜ!! れいむはそこでおとりになってね!!」 「どぼしてぞんなこというのぉぉぉ!!!」 「ちぇんはきゅうようをおもいだしたんだね!! わかってねぇ!!」 さて、此処からは楽しい空爆のお時間の始まりです(ニヤリッ) まずは黒いお帽子が的を大きく見せるまりさからだ。 逃げ始めているとは言えゆっくりの移動は基本真直ぐだ、お帽子の先を目掛けて放ってやる。 「まりささまはこんなところでしんでいいゆっく『ドスッ』ぶべっ!!」 「れいむ!! はやくにげ『ドスッ』ぶぼっ!!」 「まりさぁぁぁ!! どぼじ『ドスッ』でびゅ!!」 次々と潰れていくまりさ(とおまけのれいむ)、さらに手近なまりさに実を放る 身の危険を察知したのか偶然か、目標のまりさが振り返る 「まりさはすーぱーほーむらんおうだよ!! ゆっくりうちかえすよ!!」 まりさはそう叫ぶとおさげで柿の実を打ち返してきた 「おお!?」 『ブチッ!』 「ゆっ!?」 おさげが千切れた。 「ゆあぁぁぁ!!! まりさのせかいをつかむこんじきのおさげがぁぁぁ!!!」 一瞬期待した俺がバカだった、まりさは千切れたおさげの痛みからか 汚い尻をもるんもるんと振って転がっている、見苦しいので直球で実を投げ付ける。 「ぶびょっ!」 「ほい命中! 次の目標はっと」 辺りを見渡すと目立つゆっくりが居た、ちぇんだ 目標の速度に合わせて実を投げる、実は放物線を描いてちぇんの後頭部に・・・当たらなかった。 「なに?」 ちぇんは実が当たる直前に横に飛んで爆撃を避けた、しかも前を向いたままだ ゆっくりにはあるまじき行動に、驚きながらにちぇんを良く見ると 耳を後ろに向けて音を収集している、なるほど他のゆっくりには出来ない芸当だ。 「小癪な!」 もう一度ちぇんに向けて実を放る、今度は時間をずらして二個だ (またきたんだね! ゆっくりよけるよ!)「ゆべっ!!」 「よしっ!」 思った通り先程と同じ軌道を取ったちぇんは、二個目の実に押し潰された。 思わぬ反撃に時間を取られてしまった、次の目標を選んでいる内におかしな点に気が付いた れいむ種とありす種が極端に少ないのだ、動くゆっくりを目で追ってみても殆どがまりさやちぇんだ 混乱したまま辺りを見回していると 「やい、くそどれい!!! さっさとれいむにあまあまをけんじょうしろぉぉぉ!!!」 「んほぉぉぉ!!! まりさのまむまむよくしまるわぁぁぁ!!!」 「やべてぇ!!! まりさのきよらかなばーじんさんがぁぁぁ!!!」 足元に居た・・・、灯台下暗しと言うのはまさにこの事だろう。 しかし、この混乱の中でもあまあまに固執するれいむや、レイパー化するありすは 野生に生きる物としてどうかと考えてしまう、だが今は好都合だ 「ほ~ら、れいむあまあまだぞ~」 「びゃっ!」 「ぎゅっ!」 「んほっ!」 「ぶべっ!」 無差別絨毯爆撃により、足元の喋る汚物は物言わぬ汚物へと成り果てた。 「大体片付いたな、これで暫く近寄って来ないだろう」 潰れたゆっくりを放置しておけば死臭で暫くは近づけない、これで明日はゆっくり朝寝坊が出来る 梯子を片付けながら久々の静かな朝を想像してニヤついてしまった。 ---翌日--- 「ゆっくりしないであまあまさっさとちょうだいね!!」 「まりさ!! れいむのためにさっさとあまあまとってきてね!! ぐずはきらいだよ!!」 「まりちゃにぷくーしゃれたくなかっちゃら、しゃっしゃとあまあまちょうだいね!!」 日が昇った途端ゆっくりの騒々しさに目が覚めた 「ゆっくりは死臭を嫌うんじゃ無かったのかぁ?」 布団に頭から潜り込んで昨日の苦労が無駄になった事を理解した。 後で知った事だが、明け方に雨が降って死臭を全て流してしまったらしい やれやれである・・・。 終わり ----- 後書き 最後まで読んで頂きありがとう御座います。 今回も小ネタ話ですが、楽しんで頂ければ幸いです。 過去の作品 anko0815 ゆっくりマン anko2172 思い込みの力 anko2948 僕らは皆生きている anko3009 雪の日の出来事 anko3594 ゆっくりの鳴き声 anko3767 一般ゆっくりとドスゆっくりの違い
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『単純群れ虐殺2』 18KB 虐待 虐殺 群れ ドスまりさ 自然界 現代 続けて失礼します *「単純群れ虐殺1」の続きです。 *長くなったものを分割したつくりです。その1から続けて読んでいただけると幸いです。 ~前回のあらすじ~ お山の群れに虐待お兄さんがやってきて、群れの皆をボコボコに。 ぶち切れたドスはついにドススパークを放とうとするが…… 「ゆっゆっ……ずーりずーり……!!」 「ゆぅぅ……どすがついに ほんきっ!さんになったのぜ……。くそにんげんは もうたすからないのぜぇ……」 「とうぜんのむくいだよ!にんげんさん、こわいでしょ?あやまってもやめないよっ!!ねっ、どす?」 「ゆっゆっ……あたりっまえ!だよ!ゆっゆっ……くそにんげんさんは じぶんのつみをゆっくりかぞえてねっ!!ないてもいいよ!」 「むきゅきゅ!にんげんさんは こわくてしーしーもらしちゃうんじゃないかしら?おちびちゃんみたいね!!」 「わかるよー!ちぇんはせいきっのしゅんかん!をとくとうせきで みとどけるんだねー!!」 「ゆっゆっ……ゆゆっ!さいっきょう!のどすすぱーくを ゆっくりみていってね!!ずーりずーり……!」 もぞもぞもぞもぞと、その場で体を揺すりながら回転しようとしているドスまりさ。 勝つのが当然と早くもゆっくりした雰囲気を取り戻している周囲のゆっくりと会話するたび、律儀に止まって返事をする。 人間がドススパークの露と消えるのを見物すべく、好奇心旺盛なちぇんが足元に駆け寄ってきた。 尻尾と体を左右に振りながら無防備に背を向け、わーくわーくした様子で待っている。 「この子は潰さないでおいてあげるか。はい、ちょっと移動するよ」 「にゃん!!にがさないんだねーっ!!ちぇんは むれいちばんのしゅんっそく!なんだよーわかるー?」 ドスまりさは鬼気迫る恐ろしい表情をしているのに、動きは相変わらず、そういう芸であるかのように緩慢極まる。 ギャップで吹き出してしまいそうだが、このままだと180度回転するのに5分は待つだろうから退屈だ。 適当なところでこちらから正面に移動してみる。親切でごめんねっ 「ゆっ!くそにんげんさん!!かくごしてねっ!!!」 「「「ゆっくりかくごしてねっ!ゆぷぷぷぅっ!!」」」 人間を正面に捉えたドスまりさが、怒りの表情のまま身構える。 多くの通常ゆっくりを従えてこちらをキッと見据える様はゆっくりにしてはなるほど確かに凛々しい。 その後の「どぼぢでおさげさんがうごかないのおおお!!でいうが、どすのゆっぐりじだおざげざんは どごいっぢゃっだのおおお!!?」という下りがなけれもう少しぐらいは様になっただろう。 即座に機転を利かせ、帽子の裏に生えている魔法のキノコをお下げの代わりに舌で摘み取り、そのまま咀嚼。 口の中から淡い光と謎の星型マークが溢れ出す。 「ゆうぅぅう!ついにどすすぱーくがでるんだぜぇ……!まりさ、わーくわーくで どうにかなっちゃいそうなのぜっ!!」 「どすのどすすぱーくはとってもゆっくりできるねっ!れいむもこうっふんっしちゃうよ!!」 「きらきらしてて、とっってもとかいはだわぁ……」 「みょん!!これでゆっくりできないにんげんさんとも おわかれだみょんっ。ほねものこらないみょんっ!!」 「むっきゅ、とうぜんよ!どんなにかたいいわさんやきさんでも、どすすぱーくのひかりからのがれることはできないわっ!」 「そうなのぜっ!!どすのつくってくれたどうくつさんは とってもおおきいのぜ!」 「あんなにゆっくりしたどうくつさんができるどすすぱーくなら、くそにんげんなんていち……にい……たくさん、いてもいちげきねっ!!」 「「「ゆゆうぅぅん!!どす!すごすぎるよおおぉぉ!!」」」 「にゃにゃん!!ちゃーじさんがおわったみたいなんだねええ!!せいきっのしゅんかん!なんだねえええ!!わかるよおおおお!!」 「むきゅ!!そうだわ、みんなっ!どすすぱーくにあわせて、くそにんげんにさいごのおわかれをいうのよっ!!」 「ゆゆーっ!!それはいいかんがえなのぜっ!!ぱちゅりーはけんじゃさんなのぜえ!!」 「ゆっくりしてないくそにんげんに、ありすたちのゆっくりっぷりをみせつけてあげるのねっ!!とかいはだわっ!!」 「ゆぷぷぅぅ!!くそにんげんはしーしーもらしながら、ゆっくりできないのをくやしがってしぬんだねっ!いいきみだよっ!!」 「むっきゅん!さあみんなっ!そろそろよ!せーのっ」 「どすっ!!すっぱあぁぁあっっく!!!」 「「「くそにんげんさん!ゆっくりしんでいってねっ!!」」」 「にゃーんっ!!きらきらきれいなんだねええ!!わかぢゅっっっ」 「ゆふぅ……またつまらないものを えいえんにゆっくりさせてしまったよ……!」 「むきゅ!どす!おつかれさま!!」 「とってもとかいはなどすすぱーくだったわっ!!」 「ゆわあああ!!くそにんげん、ほんとうに ほねものこってないんだぜええ!!あとかたもないんだぜええええ!!」 「ゆゆーん!これでまたみんなでゆっくりできるねっ!ありがとう!どす!!」 「「「どす、ゆっくりありがとおおおぉぉ!!」」」 「ゆゆーっ、みんな、ゆっくりしていってねっ!」 「はいはいゆっくりゆっくり。ひと段落着いたかな?」 「「「「ゆ゛っっっ!!!??」」」」 ドスまりさを囲んでいたゆっくりたちが、一斉にこちらを向く。 が、全く、今この瞬間も彼らの目に人間の姿は本当に映っているのか疑いたくなってくる。 あれほどどうでもいい会話を続けられるほどに冗長なチャージ時間の間、ごく普通に歩いて射線から外れていただけなのに。 ドススパークは人間にかすりもせず、変わらぬ位置で見物していたちぇんを跡形もなく消し去っただけだったのだ。 山のゆっくりは純粋なのが醍醐味ではあるが、ここまで現実に反して思い込みが強すぎるのも考えものかもしれない。 「むっきゅううう!!くそにんげんんっ!!またひきょうなてをつかったのねっ!!」 「なんってゆっくりしてないやつなのぜえええ!!はずかしくないのかぜぇ!?ぺっぺっ!!」 「ゆゆん!どす!!もういっかいだよ!こんどこそくそにんげんさんをけそうねっ!!あいてはもうむしのいきだよっ!!」 「ゆっ!!ゆっくりりかいしたよ!!ずーりずーり……」 「ああ、ドススパークはもういいよ。今度は、というかこれからずっと、僕のターンだよっ!」 ばきっ 「ゆごお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 「「「ゆゆー!!どすうぅぅ!!?」」」 「あと引き立て役の君たちも休憩していいよ。邪魔しないで向こうに行っててね」 「ゆぁ~ん?ひんしっのくそにんげんのくせに なまいきなくちをきくんじゃゆっべえぇ!!」 「ばでぃざああ!!ぐぞにんげんんっ、ばでぃざになにをじだあああ!!」 向きを調整しようとしていたドスまりさの正面に立ち、砂糖細工の歯を叩き折る。 飴細工ほど硬くないものの、流石に素手では痛いので手袋装着で。 さらに周囲に群がるゆっくりたちを蹴り飛ばしていく。 蹴られているということすら認識できない個体もいるが、どういう動体視力だ。 つくづくここがゆっくりにとって温室に近い環境だと痛感する。 「ゆぶぅぅっ!!ゆびいいっ!!!やっ、やべでええ!!いだすぎるでしょお゛お゛お゛!!!?」 「あら、ドスまりさ君。君の黄ばんだザラザラの歯と同じく、随分あっさり折れたね。もう降参なの?死ぬの?」 「ゆぎいいい……!!ぐ、ぐぞにんげんざんは、ひぎょうなでをづがっでるんだよっ……!!どずはまげでないよぉ……」 「ふうん。まあ確かに手袋とかブーツは使わせてもらってるけど」 「ひぎょうもの゛は ゆっぐじできだいよっっ!!ぼうやめ゛よ゛うね゛っ!!すぐでいいよ゛お゛ぉ゛!!」 「だが断る。卑怯でいいから虐待させてね!たくさんでいいよっ」 「ゆっびゃああいいい!!ゆっ、ゆんやああああ!!!どぼぢでええええいっだぁああいいいいい!!!やめでねえ゛え゛え゛!!」 口腔に手を突っ込んで、歯肉に相当する少々弾力のある餡子を破壊しながら、折れた歯の根元をごそりと取り出してみる。 「すべてをかみきるわいるどさと、みるものをみりょうするせくしーなかがやきをかねそなえた、どすのしろいはしゃんっっ!!!」と一瞬痛みを忘れて絶望的な眼差しで見入っていたので、別の歯茎に突き返してあげた。 人間では歯に通う三叉神経への刺激は最大限の痛みを伴うが、ゆっくりの場合も、まあやはり特別痛い場所ではあるようだ。 先ほどお下げを引き抜いたときに全部出たと思ったしーしーやうんうんが、再び放出される。 「うわっきたなっ……くはないけど、べとべとで気持ち悪いなぁ。君、ちょっとまむまむの締りが悪いよっ」 「ゆんぐぐぐうぅぅぅ!!ゆひぃぃぃいいいい!!っくちいぃぃいいああぁぁぁ……!!」 それどころじゃないってか。 折れていない奥歯を割れるほどかみ締めて、それでも堪えられず体をぐにゃりぐにゃりと悶えさせながら苦しんでいる。 「仕方ないなぁ。れいむ、れいむ!ちょっと手伝ってねっ」 「ゆぎぃ……れいむのいじらしいおしりさんが いたいいたいだよぅれいむはとりさん!!」 「君たちのドスがね、すぐにお漏らししちゃうしーしードスゆっくりなんだよ。 だから、れいむ。ドスのまむまむにゆっくり詰まってあげてねっ」 「ゆぶぶぶぶっっしーしーくぢゃい!!ちゅぶれりゅ!!ごんなどごばいりだくだいいいいい!!!」 「ゆっぴいいいい!!どすのまむまむに ばいらだいでえ゛え゛え゛え゛え゛!!!いだいいいいぃぃ!!!」 もるんもるんケツを振って暴れるれいむを頭から無理やりドスのまむまむにねじ込んでいく。 胎生妊娠のおちびちゃんがまむまむを通って出てくることを考えると、成体ゆっくりでもドスのまむまむになら入ると思ったが、果たして全身詰め込むことが出来た。 ちょっと裂けてるけど、これはれいむが無闇に暴れたせいだろう。 敬愛するドスのしーしーPADになれるのだから、光栄にでも思って謹んで厳かに受けたらよいのに。 「まりさも手伝ってね。次はあにゃるの方だよっ」 「いやだいやだいやだあ゛あ゛あ゛あ゛!!やめるんだぜえ゛え゛!!やめてぐだざいいいい!!」 「どすもいやでずううう!!いだいんでずう!!ぼうう゛んう゛んじまぜんがらあああ!!!」 「ゆげええ!う゛んう゛んぐっざあああいいい!!なんっなんだぜえええ!!?ぐざすぎるんだぜえええ!!!ぜんっじんがぐざいいいい!!」 「ゆっびょおおぉぉおぉお!!ばでぃざあ!!うごがだいでねえええ!!じぬっ!!どす、じんぢゃううぅぅう!!」 言いながらうんうんをひねり出し続けるドスを無視。 ぶぴょ!だのぶぴぃ!だの時々空気が混じっているのはどういう原理なのだろう。 巨体からいくらでも出てくるうんうんに負けないよう、選ばれたまりさをうずめ込むようにぐいぐいと奥まで押し込んでいく。 山に生きる彼らの皮が丈夫で良かった。 まりさもおとーさんのお帽子と同じくドスのうんうんにまみれることが出来て、しあわせー!だろう。 「ゆびょおおお!!ばでぃざのほうせきみぢゃいなおめめに、うんっうんがはいってくるのぜえ゛え゛え゛え゛あ゛あ゛あ゛!!」 「ぐぞぢーぢー、ででぐるなああああ!!!どげるっ!!でいぶのもぢもぢのびはだざんがどげでるうううう!!」 「ゆぷううぅぅぅぅ……ゆ゛っ……ゆっふぅぅぅ……ゆひぃっ!………ぼ、ぼうやだ……!」 ゆっくりを無理やり詰め込んだまむまむとあにゃるが不自然にボコッと膨らみ、もそもそと動いている。 中にいる彼らの声が辛うじて聞こえるのは、声帯でなく全身を振動させて声を出す不思議生物だからか。 ドス自身、少しでも動けば、内部を破壊される激痛が走るのだろう。 先ほどとは違い、必死に痛みに耐えて動かないようにしているようだ。 その目は大量の涙を湛えてうるうると輝いている。 「がえるっ!……どすっ、もうおうぢがえるうぅぅうう……ゆぴぃいい……」 なるべく痛まないようにということなのか、本当にゆっくりゆっくりと動き始める。 おうちに帰るという宣言をしてくれていなかったら、傍目には何がしたいのか分からないほどの遅さだ。 ドスの体内の餡子が蠢くことで圧迫されるのか、まむまむれいむとあにゃるまりさがうめき声を上げている。 多分断末魔だろう。 「あれ、帰っちゃうの?人間さんはまだぴんっぴんしてるよっ」 「どずはぜんっじんがいだぐで、ゆっぐじできだいんでずぅぅ!!ゆっぐぢじだいんでずううう!!!」 「うーん、僕の見立てじゃまだまだだけど……まぁ、普段の君たちからすれば満身創痍だよね」 「に゛んげんざんは、ぼうゆるぢであげまずがらぁぁ……どうが、ゆっぐぢじでぐだざいいぃぃっ!!」 「うん、理解した。ゆっくりさせてもらうよっ」 「ゆ゛っっ!!!?」 撒き散らかされる涎と涙を避けるように側面から近づき、ドスまりさのお帽子を外す。 両手にずっしりと来る重量感。 砂糖細工のはずなのだが、布のような不思議な質感と性状。 つばのところを持ち地面に引きずって後ずさってみせると、放心していたドスまりさの目に、お飾りを失う焦りが現実のものとして一気に高まっていくのが見て取れる。 「ゆ゛っっんっや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「おおう、大きな声。おにいさん、びっくり!」 「ががががえじでねええええ!!!ゆっぐぢできだいっ!!おぼうぢがないとゆっぐぢできだいいいぃぃぃ!!」 「はいはいゆっくりゆっくりー。ほらみんな、危ないよっ、お飾りのないドスまりさが来るよ」 巨大なお帽子を引きずりながら、先ほど蹴り飛ばされたままその場でゆんゆん泣いていたゆっくりたちを小突いていく。 後ろからはドスまりさが滂沱の涙を流し、痛みを忘れて必死に追いかけてきている。 体を上下にスイングしているのは、恐らく跳ねようとしているためだ。出来てないが。 顔をぐしゃぐしゃにしたうんしーまみれのゆっくりが、跳ねようにも跳ねられずに奪われたお帽子を追ってずーりずーりやって来る。 その惨めで健気な姿は、奇しくも巣から出ることもままならない赤ゆっくりのそれによく似ていた。 「ほら、まりさ。そんなところでゆっくりしてると、お飾りのないドスまりさに潰されちゃうよ?」 「ゆぁ~ん?どすのくせにおぼうしがないなんて、どんなやつなのぜぇ?」 「むっきゅうう!!ほんとうにおかざりのない、へんてこなどすがきたわあああ!!」 「なんなのこれええええ!!ぜんっぜんゆっくりしてないよっ!!ゆっくりぜんたいのはじだよっ!!れいむたちのゆっくりしたどすにあやまってねっ!」 「どぼぢでぞんなごというのおおぉぉおお!!?どずはどずだよぉおお!!ゆっぐぢしでいっでええ !!」 「にゃんっ!!わかったよっ!!!どすはにんげんさんに おぼうしをとられちゃったんだねえ!?」 「みょみょん!!それはいちだいじっ!だみょんっ!!どすのおかざりを だっかん!するみょんっ!!」 「はああぁぁ!?ゆっくりしたどすが くそにんげんにおかざりをとられるなんて、あるわけないでしょおお!?」 「ばかなのぜ?しぬのかぜぇ?どすのいだいさを ぜんっぜんわかってないんだぜえ!!」 小突かれて意識をこちらに向けさせられたゆっくりたちは、各自が好き勝手なことを喚き始める。 高々一発蹴られて地面に激突した程度で、痛くてゆっくりできない自分は世界で一番可愛そう!と嘆くのに精一杯。 今までのやり取りに何一つ興味を向けていなかったのだろう。 「にんげんさんっ!!どすのおぼうしをかえしてあげてくださいいいいぃい!!」 「どすのおぼうしさんをとるなんて、いなかもののすることよっ!!?」 「とってもゆっくりしたどすなんですうううぅぅ!!みんなのえいっゆん!なんですううう!!」 「どすがないてるのをみて、なんともおもわないのぉぉお!?にんげんさんには こころってものがないのおぉおお!!?」 「どぼぢでむしするのぉおお!!?わがらだいよぉおおお!!ゆっぐぢじでよおおおぉおお!!」 「ゆっがあああ!!もうげんっかいなんだぜえええ!!!どすのつぎにさいっきょう!のまりささまが、せいっさい!してやるのぜっびゅうえ!!」 「うわっ、飛び出してきちゃダメだよまりさ。うーん、そうだなぁ……君たちのお飾りを全部くれたら返してあげてもいいけど?」 「「「ゆっぐぢおごどわりずるよっ!!!」」」 「うん、知ってた。じゃあもう少し移動するよっ、みんな付いてきてねー」 「「「ゆ゛っ!!ゆんやあああああああ!!!」」」 ぽいんぽいんっ!と後ろを付いて来るゆっくりたちは、人間さんが引きずっていく大きなお帽子を見て辛うじて事態を把握することに成功した優秀な子たちだ。 のんびり歩いているとはいえ、ゆっくりにしては早い速度で動く人間さんを追うのは大変だろう。 転んだり石や木の枝であんよを傷つけたりしながらも、必死に懇願したり罵倒したり攻撃したりしてくる。 おちびちゃんのお飾り没収ではせいぜい親や姉妹が動くぐらいだが、ドスまりさは本当に皆に愛されているんだなぁ。 各自のお飾り以下ではあるけれど。 「ゆぷぷぷ!!どすのくせにおかざりのない、いなかもののくずどすさん?ゆっくりしていってねっ?」 「かわいいかわいいれいむが、とくべつにうんうんをたべさせてあげるよっ!こうえいにおもってねっ!!」 「どすにかわって、ゆっくりのはじをせいっさい!してやるのぜ。まりさのかれいなぷーすぷーすによいしれてねっ!!」 「ゆっびいいいいい!!やめぢぇにぇ!!どずはどずまりぢゃだよおぉぉお!!?いぢめないぢぇええええ!!!」 「ゆっへえ、さけびごえまでゆっくりしてない、どうしようもないごみくずなのぜっ!」 「むきゅうう!おまけにしーしーはもらしてるし、あにゃるにはうんうんがびっしりこびりついてるわっ!!」 「おお、あわれあわれっ!!うんしーもまともにできない おちびちゃんどすのまむまむに、ぼせいあふれるれいむが いしさんをつーめつーめするよ!かんしゃしてゆぶぅぇええ!!」 「ゆああああ!!?でいぶぅう!!お゛いっ!くずどずっ!!いますぐ でいぶのうえがらどくのぜえ!!」 「ゆ゛っ!!?なんなの……!!?どずはみんなをゆっぐぢざぜるんだよっ!!おぼうしをとりもどしで、ぐぞにんげんをぜいっざい!しでぇ……」 「だまるんだぜぇ!!ゆっくりごろしのどげすどすは、ゆっくりしないでしぬんだぜえ!!ないてどげざしても、ゆるされないんだぜええ!!」 「いなかもののうえに、ゆっくりごろしなんて、なんてやつなのかしらっ!!しんじられないわぁああ!!」 「どぼぢでぞんなごどいうの゛お゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛!!?どず、ゆっぐぢをごろぢでなんがないよぉぉお!!」 ドスまりさに群がっているゆっくりたちは、それをお帽子のない別のドスが来たものと思い込んだ頭の不自由な子たちだ。 お帽子を追ってずりずりと前進するドスまりさに巻き込まれてれいむが潰れたが、ドス自身は気付いていない。 そのれいむも、ドスのまむまむとの高低差をどのようにクリアして、石を詰め込むつもりでいたのだろうか。 全長の2~3倍ぐらいのーびのーびできたのかもしれないと思うと、潰れたのは残念な気もする。 「さて、ここがいいかな」 少し歩いてたどり着いた先は、1~2mほどの落差がある崖の上だ。 飛び降りても恐らく問題ないので、段差と呼んでもいいかもしれない。 人間にとっては、だが。 「ドスのお帽子さん、ばいばい!はい、ひーらひーら……とはならないか、流石に」 崖の上でお帽子から手を離す。 思い込み補正の範囲外にある巨大な砂糖細工は、物理法則に従って素直にどすんと落下した。 「ゆゆううぅぅ!!?にんげんさんっ!!やっとはんせいしたんだねぇええ!わかるよー!!」 「ゆっ!おぼうしさん!!ゆっくりのぼってきてね!!れいむがどすのところにつれていってあげるからねっ!! そしたられいむ、おれいにあまあまをもらうよっ!!ゆふふ……。なにやってるんだああ!!はやくしろおおぉぉ!!」 「どすのおぼうしさん、まっててね!!まりさがゆっくりむかえにいくよっ!!おそらっぶべえええ!!」 「みょんっ!!いそがばまわれだみょんっ!!みょんはよこみちから、したにおりるみょーんっ!!」 みょんの後を追って、何匹かのゆっくりがお帽子救出に向かう。 うん、精々頑張ってくれ。上手く協力すれば引きずって運ぶことは十分可能だろう。 後方を見ると、ちゃんとドスまりさが追いかけてきている。 それなりに遠ざかってしまったし、通常ゆっくりにちょっかいを出されていたので、こちらを見失っていないか心配だったが良かった。 とりあえず一息だ。 置いておいた荷物を取りにいき、準備をするついで、木の陰でペットボトルの水を飲む。 すぐ横から、例の特徴的な声が聞こえてくる。 「ゆっ!いみゃ、にゃんかがさがさー!っていっちゃよぅ!まりちゃ、きょわいのじぇえぇぇ!!」 「ゆーん……すーりすーり。おちびちゃん、しんぱいしすぎよっ。ほいくえんさんのなかはあんっぜんだから、ゆっくりしてねっ!」 「むきゅ。ありすのいうとおりよ。からだのおおきいにんげんさんは、ゆっくりのおうちにはいってこれないわ」 「ゆゆん!!そのまえに、れいむのけっかいがあるから、ぜったいにみつからないよっ!れいむ、ゆうしゅうでごめんねえ!」 「ゆぅぅぅ……でみょ、まりちゃ、ふあんでむねがはりさけそうなのじぇぇぇ……」 「まりちゃおにぇーちゃんは、こわがりだにぇ!!」 「ときゃいはなありちゅがぺーろぺーろしちぇあげるわっ!ゆっくちちていっちぇにぇ!!」 「ゆわぁぁぁ……ありしゅおにぇーしゃん、ありがとぉぉ……ゆっくちー」 「ゆふふ。おちびちゃんたち、ゆっくりしてるねっ」 「おちびちゃんたちはむれのたからっ!だからね。ぱちぇたちが、ぜったいにまもってみせるわ」 全く、それほど大っぴらに姿を晒し、大きな声で話していて気付かれないと本気で思っているのだろうか。 構成と会話から見て、群れの託児所のようなところなのだろう。 折れた大樹の根元。 ドススパークで作ったと思しき広い穴。 木の枝が一本横に置かれているだけのけっかいの向こうには、たくさんのおちびちゃんを連れた保育ゆっくりが避難してきていた。 つづく -----------------------------------------
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「罪」 ※虐待の描写は殆どありません ※現代設定(?)です ※独自設定があります ※ネタ被りがありましたらご容赦ください ※淡々としています ―ブツン。 頭の中で音がした。 その直後。 瞼を閉じていても痛みを感じるような、強烈な光を顔に当てられてれいむは目を覚ました。 体を動かそうにも、何かで押さえつけられているため叶わない。 あんよに何かが触れている感覚があり、ヒンヤリとした空気が体を包んでいた。 「……ゆ、ゆゆっ? ど、どうなってるの?!」 パニックを起こしかけたとき、光が弱まり、白一色だった世界がぼんやりと輪郭を取り戻した。 れいむは手術室のような部屋にいた。 冷たいマットのストレッチャーに乗せられ、ベルトで縛り付けられている。 無影灯があらゆる角度かられいむを照らす。 それ以外に明かりはない。 れいむは自分を見つめる2人の人間に気付いた。 1人は白衣を着ている。知らないお兄さんだった。 もう1人はお姉さん。 そのお姉さんの姿を見たとき、れいむは叫んだ。 「!! おねえさん?! おねえさんなの?!」 彼女はれいむの飼い主だった。 だが、れいむの呼びかけには身体を震わせるだけで答えてくれない。 部屋の明かりはれいむに集中しているため、表情も良く分からなかった。 代わりに白衣のお兄さんがれいむに言った。 「おはよう、れいむ。気分はどうだい?」 「ゆ?! おにいさんはだれ?! ここはどこ?!」 「落ち着いて。私は医者で、ここは病院だよ。 君は大怪我をして、今まで手術を受けていたんだ。 もう少しで“永遠にゆっくりする”ほどの酷い傷だった。 れいむ、覚えていないのかい? 君はおうちのお庭で倒れていたんだよ」 そう言いながら、れいむを拘束していたベルトを外してくれる。 お兄さんが優しい声をしていたこともあって、れいむは幾分落ち着きを取り戻した。 そして、お兄さんの言葉で自分に何が起こったのかをゆっくりと思い出し、震えだした。 「……ゆ、ゆ……! ……あ、……あぁぁ……!」 れいむの脳裏に、あの恐ろしい出来事が再生され始めた。 * * * * * * * * * れいむはおうちの中にいた。 なんで? だってれいむは飼いゆっくりだから。 ここはお姉さんとれいむのゆっくりプレイスだ。 お姉さんはどこ? 昼間はお仕事があるから、れいむは独りぼっちだ。 もう慣れたでしょ? そう、れいむはとてもゆっくりしたれいむなんだ。 だから寂しくなんかない。 お姉さんが帰ってくるまで、ゆっくり待っていられる。 でもその日はいつもと違った。 前の晩に、れいむはお姉さんと些細なことで喧嘩してしまい、朝の挨拶もしていなかった。 バタン、と玄関のドアが閉まり鍵のかかる音がした。 お姉さんが仕事に行ったのだ。 いつもなら見送りをしていたれいむは、居間のソファーで不貞腐れていた。 「れいむはわるくないもん……」 そう言って、れいむはぷくぅ、と膨れていたが、 時間が経つうちに、自分がしたことを後悔するようになった。 「やっぱりわるいのはれいむだよ……。おねえさんごめんなさい……」 謝りたくても、その相手はいない。 我が儘だった自分に腹が立って、ゆっくりできなくなった。 「おねえさん……」 この世界で一番ゆっくりさせてあげたいお姉さんにひどいことをしてしまった。 その罪悪感が、れいむをますますゆっくりできなくさせる。 「おねえさん、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」 涙が溢れそうになるのを必死に堪える。 だって泣いたらゆっくりできないから。 お姉さんも言っていたじゃないか。 「笑顔が一番よ、れいむ。あなたに泣き顔なんて似合わないわよ」 いつのことだったか、微笑みながられいむを慰めてくれたお姉さん。 とっても暖かくていい匂いがした。 ―ああ、そうだ。 ゆっくりした想い出が、れいむの心を癒していく。 うじうじした気持ちを吹き飛ばす。 笑顔。 笑顔が一番だ。 お姉さんが帰ってきたらとびっきりの笑顔で迎えてゆっくりしてもらおう! いつの間にか、おうちの中は夕日で赤く染まっていた。 もうすぐお姉さんが帰ってくる。 ポヨヨンとソファーから飛び降りたとき、お庭に面した窓がガシャンと割れた。 冷たい風がれいむの頬を撫でる。 「ゆぅ?!」 振り返るれいむ。 窓を割って入ってきたのは黒帽子のゆっくりまりさだった。 「なかなかいいおうちなんだぜ! まりささまにふさわしいんだぜ!」 薄汚れた体。 典型的な野良ゆっくり。 そしてお決まりのセリフ。 「だ、だめだよ! ここはおねえさんとれいむのおうちだよ!」 反射的に叫んだれいむ。 まりさはそこで初めてれいむの存在に気が付いたようだった。 「……! ……なんだ、れいむだったのかぜ」 「こ、ここはおねえさんとれいむの……」 「うるさいんだぜ! にんげんなんかにかわれているゆっくりが、まりささまにさしずするんじゃないのぜ」 れいむを無視して、おうちを荒らそうとするまりさ。 手始めに、鉢植えに咲いている花を食べようとした。 「やめてぇっ!!」 鉢植えには赤い花が咲いていた。 れいむがお願いして買ってもらったものだ。 れいむとお姉さんはその花の香りが大好きだった。 思わず体当たりをするれいむ。 予想外の攻撃に、まりさは驚きの表情を浮かべて、そのまま転がった。 ポヨンポヨンと勢い良く、2匹はそのままお庭に飛び出した。 ドテッ、ボヨン、と地面に叩きつけられるれいむとまりさ。 暖かかったおうちの中から一転して、肌を刺すような寒さに襲われた。 「ゆうぅぅ……!」 今まで経験したことのない痛みと恐怖に震えるれいむ。 そんな中で、れいむはまりさがどれだけ辛い環境にいたのかを理解した。 まりさがどうしておうちの中に入ってこようとしたのかを理解した。 「……まりさ……ごめんね……れいむは……」 まりさの方を向いたれいむの目に映ったのは。 まりさはれいむを睨んでいた。 ゆっくりできない顔だった。 ブツブツと何かを呟いていた。 「……むの……」 「……? まりさ……?」 「くずのれいむのぶんざいでぇえええええええええええええっ!!」 跳躍するまりさ。 見上げるれいむ。 落ちてくるまりさ。 動けないれいむ。 ―たすけて、おねえさん。 強い衝撃を感じたのを最後に、れいむの意識は途切れた。 * * * * * * * * * ―ブツン。 「ゆわぁああああああ! あああああああああああ!」 「大丈夫だ。れいむ、落ち着いて。大丈夫だから」 必死になって暴れるれいむを誰かが押さえつける。 誰? この声は……確か……。 れいむが見上げると、そこには白衣を着たお兄さんがいた。 「全て思い出したんだね、れいむ」 「ゆ……? おにいさん……? まりさは……?」 「もう終わったよ。終わったことなんだ」 れいむが大人しくなると、お兄さんは手を離した。 部屋全体を照らす明かりがつく。 お姉さんがれいむを見つめていた。 「ゆうぅ……! おねえさん、れいむ……」 そこから先は言えなかった。 お姉さんは泣いていた。 最初はれいむが助かって、嬉しくて泣いているんだと思った。 でも違う。 お姉さんは、とても悲しそうな顔をしていた。 「……おねえさん……? どうしたの……?」 お姉さんはただ涙を流すだけ。 白衣のお兄さんがお姉さんに向かって言った。 「もう充分でしょう。この『まりさ』はれいむの記憶をほぼ完璧に追体験しました」 ―え? ―まりさ? ―まりさがどこにいるの? 混乱するれいむ。 ―れいむ? ―そうだよ、れいむはれいむなんだぜ。 ―あれ? ―いまれいむはなんて……? ―なんだろう、おかしいよ……おかしいんだぜ……。 ―きもちがわるい……たすけて……おねえさ……。 混濁する意識の中で助けを求める。 「システムとの接続は一時的に切ったから、君の自我の優位が戻ってきているんだ。 でも、れいむの記憶から得た知識で、これが何かは分かるだろう?」 お兄さんが何か言ってる。 ―なにをいってるの……? ―いみがわからないよ……? ―れいむを……まりさを……たすけて……。 お兄さんが目の前に何かを置いた。 ―ああ、これは……。 それは鏡だった。 自分の全身が映し出される。 鏡の中にいたのは。 「……ど……、どうして……まりさが……いるの……?」 そこにいたのは自分を襲ったまりさ。 帽子、髪型、目つき、口元。 忘れるわけがない。 「うそ、なんだぜ……? だって……まりさは……」 そう言った瞬間、全てを思い出した。 人間のおうちに侵入して、れいむに見つかったこと。 れいむと一緒にお庭に転がり落ちたこと。 れいむにやられたことで、激しい怒りを覚えたこと。 そして、れいむをぐちゃぐちゃになるまで踏み潰して、殺したこと。 「ゆわぁあああああああああああああああああああああっ!!」 まりさは絶叫した。 * * * * * * * * * 私はまりさに、自分のことを「医者」だと言ったが、実際は少し違う。 確かにゆっくりを治療したりもするが、本業はゆっくりの研究だ。 ストレッチャーの上のまりさには2本のコードが繋がっている。 ちょうど、こめかみの辺りに突き刺すような感じだ。 そのコードの先には機械と、れいむから摘出した餡子が接続してある。 試作品だが、上手く機能してくれた。 ここに運ばれてきたとき、れいむは既に蘇生が不可能な状態だった。 そしてれいむと共に連れてこられた、野良ゆっくりのまりさ。 辛うじて無事だった僅かな餡子と、健康な体。 れいむの飼い主の希望で、れいむの記憶をまりさに移植することとなった。 この処置の目的はふたつ。 ひとつは、まりさに己の罪を自覚させること。 そしてもうひとつは……。 「ゆぅううう……! ゆぁあああああ……!」 れいむの記憶に悶え苦しむまりさ。 それも間もなく終わる。 「まりさ」 私の呼びかけに、まりさは涙でいっぱいになった瞳を見開く。 「君が殺したれいむがどれだけ愛されていたか理解できたか?」 「……」 「君がどれほど酷いことをしたか理解できたか?」 「……」 「まりさ、この『まりさ』のことをどう思う?」 私は鏡の中のまりさを指し示す。 短い沈黙の後、まりさが呟いた。 「……このまりさは……わるいまりさ……だよ……。……ゆっくりできない……ひどいまりさだよ……。 ……だから……せいさいして……もう……ころして……」 「そうか、分かった。その願いは半分だけ叶えよう」 私はコンソールを操作した。 モニターの波形が大きく揺れ動く。 「ゆぐぇばばばばばばばばば……!!」 まりさはグルンと白目を剥き、痙攣した後、意識を失った。 * * * * * * * * * れいむが意識を取り戻したとき、目の前にお姉さんがいた。 「……おねえさん……? っ! おねえさん! おねえさぁんっ!!」 飛びつくれいむをお姉さんは優しく抱きかかえる。 その顔はいつもと変わらない微笑みを浮かべていた。 「おねえさん……! れいむ、こわいゆめをみたよ……! こわかったよぉ……!」 腕の中で泣きじゃくるれいむに、お姉さんは言った。 「大丈夫よ、れいむ。何もかも夢なんだから。私がいるから安心して……」 「本当にこれで良かったんですね?」 誰かがお姉さんに言った。 「ええ……。私にはこの子しかいないんです。たとえどんな姿でも……。 無理なお願いをして、申し訳ありませんでした。……心から感謝します」 彼女たちはそのまま部屋を後にした。 残されたのは1人の研究者。 「体は『まりさ』で、記憶は『れいむ』か……。 ゆっくりの本質はどっちにあるんだろうな……」 れいむの残骸からサルベージできた記憶は完全なものではない。 『まりさ』の自我は消え去ったが、あれを『れいむ』といって良いのだろうか? また、研究テーマが増えてしまった。 明かりを消し、研究者は部屋を出ていった。 (了) あとがき 最後までお付き合いいただきありがとうございます。 れいむ お願いだから話しておくれ 聞かせて欲しいんだよ れいむの救い方を! ゆっくりにとって従順は美徳だ 最高の美徳だよ だから話しておくれ…… ……話せよ! 話せったら話せ! この饅頭がァ!! どこかの狂王がこんなことを言っていました。 いつかは、ストレートにれいむが幸せになる話に挑戦したいです。 書いたもの ふたば系ゆっくりいじめ 392 お前たちに明日はない ふたば系ゆっくりいじめ 411 明日に向って飛べ! ふたば系ゆっくりいじめ 430 幸せ ふたば系ゆっくりいじめ 463 フォレスト・オブ・マッドネス
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ポールあきとの約束 ・かなりオカルトな話な上に、ゆっくり関連の設定が妙な方向にぶっとんでおりますので、お気をつけください。 ・作中の薀蓄は、半分くらいがいいかげんなものだと思いますので鵜呑みにはしないでください。 ・過去作の設定と矛盾するところがあった場合は、見なかったことにしてください。 ・あと、あまあまください。実験用の蒸留水さんにブドウ糖さん溶かしたものは、もう見たくないです。 ―――――――――――――――――――― おやおや、よく来たね、チビちゃんたち。 酒のつまみと得体の知れない井戸水ぐらいしかないけど、ゆっくりしていってね。 ん、なんだい? また、オババの話を聞かせて欲しいって? おうおう、いいよいいよ。 オババも、お話は大好きだからね。 それじゃあ、何の話をしようか。 頭を失くしたちるの、一人ぼっちのキャハハまりさ、熱帯夜の樽さなえ……ん? 怖い話は、昨日したから、今日は怖くない話がいいって? じゃあ、薔薇強姦魔なんてどうだい? お母様(しんき)によって創造された七体の強姦魔(レイパー)、薔薇強姦魔(ローゼンレイパー)。 愛しのお母様を姦淫するために至高の強姦魔――吾理守(ありす)を目指して、姉妹は殺し合う。 裏切り、近親相姦、薔薇一物(ローザぺにぺに)の奪い合い。 繰り広げられる、カスタードクリームでカスタードクリームを洗うクリームみどろの愛憎劇。 舞台の幕が閉じるとき、彼女たちは何を見るのか……。 へ? そっちの方がよっぽどホラーだって? 駄目かい? んー、困ったね。 今日は、とっときの怖い話をするつもりだったから、怖くない話は考えてなかったんだよ。 ほえ? 「始まりのゆっくり」の話を聞きたいって? でも、いいのかい? あの話は、一昨日もしたよね。 ……ほえほえ、そんなにあの話が好きかい。 うんうん、それじゃあ、そうしようか。 実は、オババもあの話が大好きなんだよ。 みんなも、それでいいかい? じゃあ、始めようかね。 「妖怪饅頭の話」 あれは、いつの時代のことだったか。 政治の中枢がまだ京都にあった頃、この国では、いろんな所で争いが起きて、些細なことで皆がいがみあって、片時もゆっくりした時間が流れていなかったそうだよ。 でもね、その頃の人間ってのは、そんな苦しい時でも「感謝」を忘れなかった。 自分たちが食べる分も少ないってのに、恵みをもたらしてくれる神様と大地に感謝して、毎年毎年、お供え物をしていたんだとさ。 ある村でも、その例に漏れず、お祭りのときには、あっちの家からちょっと、こっちの家からもちょっといった具合に食べ物を出し合って、お供え物をしていたんだ。 その握り飯や団子といった、それはそれは美味そうなお供え物の中には、何個かのお饅頭もあった。 そして、驚いたことにね。 その饅頭の内二つは、命を持ってたんだよ。 普通、命を持たない物に魂が宿るには、長い年月が必要だって話だけど、昔の人たちは、神仏や妖怪変化っていうものを信じて暮らしてたからね。 そういった人間の心の有り様は、世界にほんの少しずつ影響してるから、皆が科学以外を信じることがなくなった今と比べると、昔は物が命を持ちやすかったんだよ。 それに、そもそもお饅頭自体に「人間の頭」っていう意味合いが込められていたからね。 おや、この話はしなかったかねぇ? 中国の孔明さんって人が、荒れ狂う川の水を沈めるために、人間の生首の代わりとして生贄に奉げた食べ物がお饅頭の始まりだって言われているんだよ。 まあ、そんなわけで、お饅頭ってのは、人に近い性質を帯びやすい食べ物だったわけさね。 さて、この二つのお饅頭なんだけど。 実は、人間と仲良くしたいと思ってたのさ。 自分たちの前で楽しそうに遊ぶ子供たち、笑いながらお話をしている農夫、赤ちゃんを抱いて頭を撫でるお母さん。 何気ない日常風景でも、動けもしない、おしゃべりもできないお饅頭たちにとっては、きらきらと輝く素敵なものに感じられたんだろうね。 みんなといっしょにあそびたい。 おしゃべりしたい。 ぎゅってされたい。 あたまをなでなでしてもらいたい。 いいな、いいな、たのしそうだな、おともだちになりたいな。 そういった思いが積もりに積もって行った。 そんなある日 「「ゆっくりしていってね!!!」」 赤いリボンに、黒い髪のゆっくりれいむ。 「れいむは、れいむだよ!!!」 黒い帽子に、金色の髪のゆっくりまりさ。 「まりさは、まりさだよ!!!」 その子たちは、妖怪になった。 勿論、すぐに人間たちと仲良くなることなんて出来なかったよ。 そりゃそうだね、村人からすれば、生首の化け物が自分たちの言葉を話しながら跳ね回ってるんだ。 薄気味悪いなんてもんじゃないよ。 子供は泣き出すは、爺様は腰抜かすは、てんやわんやの大騒ぎってなもんだよ。 そんな具合で、終いにゃ近くの寺から坊さん呼んで来て御祓いしてもらおうなんて話まで出てくる始末さ。 現代人からすれば、ゆっくり相手に大騒ぎしている昔の人は、随分とおもしろいものに映るんだけどね。 こうして初っ端から、最悪な印象を持たれちまったわけさ。 最近の根性なしのゆっくりどもなら、ここでもう諦めちまいそうなもんだけど、その子たちは人間と仲良くなることを決して諦めなかった。 「感謝」の念を沢山込めて作られたお饅頭の低級妖怪は、良く言えば物凄く純粋、悪く言えばどこまでも単純だったのさ。 友達を作るには、うってつけの性格さね。 それに、その子たちは、誰とでも仲良くなれる才能を持ってた。 それが 「「ゆっくりしていってね!!!」」 なんだよ。 「ゆっくりしていってね!!!」 疲れている人がいれば、全身全霊の「ゆっくりした気持ち」つまり「陽気」を言葉に乗せて相手を癒す。 「げんきだしてね!!! すーり、すーり!!!」 絶望した人がいれば、頬を摺り寄せて、相手の「ゆっくりしてない気持ち」つまり「陰気」を引き受けちまう。 人間に認めてもらいたいと願って、毎日毎日、そんな風にして頑張った。 雨と雪には、負けちまうけど、風にも、夏の暑さにも負けずに村中をテインテインと跳ね回った。 最初は、気味悪がってた村人たちも、そんな健気な姿見せられちゃ、邪険に扱えないってなもんさ。 この子たちを「ゆっくりオバケ」とか「生首饅頭」なんて呼んでた人間は、次第に少なくなって行った。 一人、また一人とお友達が増えていった。 そうして沢山のお友達が出来て、皆から「れいむ」「まりさ」と名前で呼ばれるようになってからは、毎日が笑顔でいっぱいだった。 遊んだり、お喋りしたり、村人に一時の癒しを与えるために村中を跳ね回ったりして一日中を過ごして、日が暮れたら川で体を洗ってもらう。 辺りがとっぷりと暗くなる頃には、大好きな人間の暖かい腕に抱かれて眠りに就く。 さぞ、幸せだったろうね。 勿論、中には「ゆっくりはゴミだ! カスだ! 死ぬべき存在だ! 爆発しろ! 煮えろ! 泡立て!」やら「ヒャッハー!!! 虐待だー!!!」やらと、まるで時代を先取りしたかのような不思議な主張を続ける虐待お兄さんもこの頃からいたけれど。 まあ、それでも、ゆっくりは、多くの人々に愛されて末永く幸せに暮らしましたとさ、めでたし、めでたし ……で終われると本当によかったんだけど、ねぇ。 可愛そうだけど、ここがこの子たちの物語の絶頂だったのさ。 妖怪や幽霊、特に力の弱い子たちがどうやって増えるのかは、前に説明したね。 ……そうさ、噂だよ。 人が噂話を信じることで、虚ろな存在は本当に有るものとして力を得る。 そして、噂話を口にすることで、そいつは形を持つんだ。 トイレの花子さんを見たって話が日本中のいろんな小学校でされてるのはそのせいさ。 最初の子たちに友達が出来れば出来るほど、その存在は噂話として人々の間を行き交い各地に広まっていった。 「生首みたいな饅頭の妖怪がいる」 これは、最初に噂が生まれたところから、随分と離れたところでされていた噂さ。 噂ってのは、広まるうちに形を変えちまうもんなんだよ。 確かに、生首みたいな饅頭ってのは、言い得て妙だね。 でも、それじゃあ「れいむ」と「まりさ」のことを正しく伝えたとは言い難い。 こうして、情報がちょっとずつ、ちょっとずつ呆けながら伝わっていった結果、国中のいたる所でその子たちが生まれたのさ。 「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」」 「次の子」たちは、様々な面で「最初の子」たちとは異なった。 そう、最初の子たちよりも優れていたんだよ。 「生首みたいな」という言葉が前面に押し出されて噂が広まった結果だね。 次の子たちは、より人間に近い性質を持って生まれてきたのさ。 単純な思考は、ほんの少し複雑になった。 少しの単語と短い文しか使えなかった知性は、もっと広い言葉の引き出しと上等な帳面を手に入れた。 快、不快、好き、嫌いといった単純な感情は、もっともっと複雑になった。 恋をして夫婦となること、愛し合い子を成すこと、子を慈しみ育むことを覚えた。 でもね、それは決して良いことなんかじゃなかったんだよ。 確かに、少しだけ頭は良くなった。 でも、それは、ひどく中途半端なものだったのさ。 賢くなったとはいっても、人間の真似っこだもの。 本物の人間の賢さには及ばない。 だから、人間の「決まりごと」や「守るべき当たり前のこと」といったものが理解できない。 最初の子たちは単純だったからね。 理解できなくても駄目だと言われたら止めるし、怒られればちゃんと謝った。 まあ、すぐに忘れちまうんだけどね。 でも、次の子たちは、なまじ物事を考えることが出来るもんだから、言われたことを素直に受け止められない。 やれ、野菜は勝手に生えてくるだの、誰もいなかったからここは自分たちの家だのと言って、人間たちを大いに困惑させ、怒らせ、不興を買っちまったんだ。 こうしたいがみ合いのせいで、人間とゆっくりの仲に罅が入った。 確かに感情は豊かになった。 恋や愛といった素敵のものが生まれた。 怒り、悲しみ、妬みといった余計なモノと一緒に。 その余計なモノの中で特に厄介なのが「欲」さ。 欲ってのは、確かに全ての生き物が持ってる。 「ご飯を食べたい」「眠りたい」といった欲を感じられないと、まず生きることが出来ない。 でも、人間の持つ欲ってのは、どんな生き物の持つそれより複雑で大きい。 他者を蹴落としてでも幸せでありたい、誰よりも優れた存在でありたい……。 ただ生きるだけなら必要のない欲求。 普段は、「理性」でもって押しつぶされている願い。 そして、理性ってのは、知性、賢さからくるもんさ。 そう、さっきも言ったように次の子たちの賢さは、中途半端だった。 つまり、理性も中途半端なものだったんだよ。 その結果、次の子たちの中に「ゆっくりさせる」ことより「ゆっくりする」ことを大事にする連中が増えてった。 そうして起こったのが陰気と陽気のバランスの崩壊、それに続く「ゲス」の誕生さ。 さっき、ちょろっと言ったけど、陽気ってのは、ゆっくりした気持ちのことだね。 ゆっくりが幸せを感じたときに生まれるそれは、血肉ならぬ餡子皮となり、心を豊かで寛容にしてくれる。 ただ、薬も過ぎれば毒になる。 摂りすぎた陽気は、その身を必要以上に肥え太らせ、心を怠惰で傲慢なものに変えちまう。 こうして体と心に肉を付けたゆっくりは、こう考えるようになったのさ。 ――こんなにもゆっくりした自分は特別な存在で、他の連中は自分に仕えることが至上の喜びに違いない。だから、自分はもっとゆっくりするべきだ―― そうして、こいつらは、もっと沢山の陽気を求めてゲスな行為を行うようになった。 その辺の草よりも遥かに美味い人間の食い物を奪う。 龍脈、地面の中でも特別にゆっくりしたところに巣食って草木を枯らす。 出入りが多くて気の流入の多い人間の家でお家宣言といった具合にね。 その一方で、ゆっくりできなくなった連中もいた。 陰と陽は、二つで一つ。 必要以上にゆっくりした連中のツケは、その仲間が被ることになったのさ。 陰気ってのは、ゆっくりしてない気持ち。 ゆっくりが抑圧を感じたときに生まれるそれは、身を引き締め、精神を鋭く頑強にする。 でも、それは薄めた毒。 少量ならば薬でも、沢山摂ればやっぱり毒だよ。 押し付けられた余計な陰気は、表情を剣呑にして、心を嫉妬や憎しみといった負の感情で満たす。 育まれた負の感情は、もっと沢山の陰気と「もっと悪いモノ」を惹き付ける。 そして、陽気に対する強烈な飢えをもたらし、ゆっくりをゲスに変える。 たまに、共食いしているゆっくりを見るだろう? あれなんて、まさにそれさ。 ゆっくりして陽気を掻き集めるよりも、元から持ってる奴から奪ったほうが早いからね。 でも、もっと悲惨なのは、引き寄せた悪いモノとくっついちまった連中さね。 餓鬼魂(がきだま)なんかとくっついたら二度と満たされることがない。 ツガイ、親、子供、友人、終いにゃうんうんや石なんてものまでかっ喰らうようになって、最後は自分の腹を貪り喰らって死ぬ。 そして、もっともっともーっと悪いモノとくっついたら…… 人間にも害を及ぼす。 こういったゲスが生まれてきたせいで、人間とゆっくりの仲は完全に引き裂かれちまった。 勿論、次の子たちの全てがゲスだったわけなんかじゃないよ。 素直な善い子たちだって、いっぱい、いっぱいいたんだ。 でもね、坊主憎けりゃ袈裟まで憎しって言ってね。 人間は、ゆっくりのことが大嫌いになっちまった。 全国の至る所で「ゆ狩り」なんて言って、ゆっくり狩りが行われた。 そうして、ゆっくりたちは、人間の集落を追われて山々へと散って行ったのさ。 その中に、最初の子たちがいたのかどうか、今も生きてるのかどうか……。 妖怪に寿命はないから、今も元気でやってるかもしれないし、とっくに殺されてるのかもしれないね。 それは、誰にも分からない。 めでたし、めでたし。 ん? ちっともめでたくないって? あれま、チビちゃんにこの話をするは、初めてだったかね? ふっふっふ ほら、窓の外を見てごらん。 人間の街だ。 区画整備がなされて、風水と科学で守られた、ゆっくりにとって住み心地がいいとは、決して言えない人間のための都市だ。 それなのに、ゆっくりはいなくならない。 桃源郷を夢見て山から下りて、現実を知って絶望しても、何とか人間の街で暮らそうとする。 人間の食い物が魅力的なのか、帰れない事情があるのか……。 勿論、そういった込み入った事情もあるんだろうさ。 でもね、オババは、こう思うんだ。 今でも最初の子たちの願い「人間と友達になりたい」って思いが心のどっかにあるからなんじゃないかってね。 さて、お話は終わりだよ。 チビちゃんたちのお母さんが迎えに来るまでは、まだまだ時間もあることだし、みんなで散歩にでも行こうか。 な~に~? 外は寒いから家の中で、KOY(キングオブユックリ)がしたいだって? こんないい天気に、何言ってんだい。 40秒で支度しな! あとがき 前からやってみたかった妖怪発祥ネタ。 いかがでしたでしょうか? もし、有りならば「シルクロード経由で中国から欧州に渡った飛頭蛮っていう妖怪がれみりゃ、ふらんになる」とか「仙桃から生まれた最初のてんこが仙人の修行を真似して徐々にドMに開発されていく」というネタも書いてみたいっす。 ご意見、ご批判など、お待ちしております。 あと、作中に出てきた「樽さなえ」は、某怪奇小説から勝手にパチりました。 樽さなえ→タ ル サ ナ エ で、文字の順番を入れ替えると、悪魔の名前が……。 ゆんやぁぁぁぁ!!! こわいぃぃぃ!!! それにしても、婆ちゃんの語り口調ってのがわからないよー。 過去作 ふたば系ゆっくりいじめ 394 お兄さんと冷めた肉饅 ふたば系ゆっくりいじめ 408 お前もポールさんみたいにしてやろうか!? ふたば系ゆっくりいじめ 442 肉まんと出かけよう 前編 ふたば系ゆっくりいじめ 491 肉まんと出かけよう 完全版 ふたば系ゆっくりいじめ 501 ゆっくりしたモノの義務 ふたば系ゆっくりいじめ 547 変わらない ふたば系ゆっくりいじめ 663 クリスマスは、十ゆん十色 ふたば系ゆっくりいじめ 825 捕食種一家と三つの教訓
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『芸術作品』 14KB 虐待 飾り 番い 野良ゆ 子ゆ 現代 独自設定 いつの間にか三月 三月になってしまいましたが、二月の話です。 独自設定有り。 ゆっくりしていってね。 体の芯まで凍りつくような寒さで目を覚ました。 まだ開いていない両目を人差し指で乱暴に擦ってから目を開けた。 自室の北側の窓に設置されたカーテンの隙間から青白い光が薄暗い部屋に差し込んでいる。 手足を一杯に使って背筋を伸ばした俺は、ゆっくりと立ち上がり、カーテンを開ける。 眼下に広がっているはずの広大な田畑は一面白銀の雪に覆いつくされていた。 「降るとはいってたけど、本当によく降ったなぁ」 目測から雪は三十センチ程は積もっているのではないかと思った。 毎年うっすらと雪化粧がされるだけというこの地域では、信じられないほどの積雪量だ。 二十年この地でずっと生活しているが、これほど雪が降った記憶はあまりない。 さて、ここまで積もってしまったからには、面倒だが雪かきをしなくてはならない。 タイミングの悪いことに、俺の両親は箱根に三泊四日の温泉旅行の真っ最中である。 現在この家に雪かきを行える人間は俺しかいない。 自室の隅にある衣装ケースを漁り、数年前に使ったきりの薄手のジャンパーを引っ張り出す。 取り敢えずジャンパーが見つかってホッとした。 いつもの格好で外へ飛び出したら、凍え死んでしまうだろう。 うん、間違いない。 「さて、と」 ジャンパーを羽織ると、階段をガタガタと音を立てて降りて玄関へ向かい、そこにある棚から軍手と物置の鍵を取り出す。 積雪が多い地方にはジョンバという雪かき専用のスコップが常備されているというが、生憎うちにはそんなものはない。 うちにあるのは園芸用の鉄製のシャベルだけである。 こいつで雪をかけないことはないが、物凄く効率が悪い。 両手にしっかりと軍手をはめ、長靴を履き、玄関のドアを開けた。 外に出た途端、突き刺すような冷気が俺を襲った。 寒さに慣れていない俺には、まるでこの世の終わりなのではないかと思えてしまう。 予想ではあるが、気温は間違いなく氷点下を下回っていることだろう。 雪国に住む人間はこの気温でまだ暖かいというらしいから恐ろしい。 雪が長靴の中に入らないように気をつけながら慎重に歩く。 小さな頃に雪が長靴の中に入ってしまったことがあったが、あの時の苦しみは十年以上経った今でも鮮明に覚えている。 慎重に歩き過ぎた結果、十五メートル離れた物置に辿り着くまで一分近くかかってしまった。 うちの物置は簡易的なプレハブ小屋なもので、引き戸になっている。 物置の引き戸の鍵穴に鍵を挿し込み、回した。 ガチャリという音と共に鍵が開いた。 しかし戸を引いてもピクリとも動かない。 どうやら凍りついていてしまっているようだ。 「仕方ないな……」 俺は深く深呼吸してから、思いっきり力を入れて引き戸を引いた。 ドスン、という音をたてながら引き戸は開いた。 物置の中からシャベルを取り出し、玄関へ戻る。 帰り道は自分の靴の跡の上を通ればいいので、スムーズに移動することができた。 南側にある玄関は、日中は人の往来がそこそこある通りに面している。 人目につかないのならば適当に雪をかいてしまうのだが、こればかりは仕方がない。 近所の人に怠けている家庭だとは思われたくはないので、手を抜くことはできなかった。 重いシャベルを雪に突き刺し、載った雪を思い切り側方へ投げ飛ばす。 雪の重量は案外馬鹿にできない。 特にうちの地域のような比較的暖かい地方で降る雪は湿り気を帯びていて余計に重いのである。 「よし、こんなもんか」 雪かきが終わったのは、それから三十分後だった。 玄関から通りまではしっかりと除雪され、まるで道のようになっている。 その道の両側には、かいた雪によって山ができていた。 無駄に広い庭というのも考えものだなと思った。 額を伝う汗を拭いながら一息ついていると、通りで蠢く小さな影を見つけた。 興味をもった俺は気付かれないように音を立てないようにしながら影へと近寄ってみた。 影が次第にはっきり見えるようになっていく。 影まで五メートルのところに差し掛かった時、その正体がわかった。 影の正体は野球ボールサイズの子ゆっくりだった。 黒帽子を被ったそいつは、ゆっくりの中でも見かける機会が多いまりさ種だった。 俺はその子まりさをしげしげと観察する。 この子まりさは恐らく野良だろう。 帽子に飼いゆっくりの証であるバッジがついていなかった。 だが、それにしてはその身体はやけに綺麗だ。 普通、野良ゆっくりというのは小汚い様相をしているものである。 それに冬だというのにこの時間から活動しているというのも腑に落ちない。 普通の野良子ゆっくりなら、今頃ダンボールでできた家の中で古タオルにくるまって震えているか、すでに永遠にゆっくりしていることだろう。 ではなぜこの子まりさは寒さを気にせずに活動することができているのだろう。 学生時代に生物の授業で習ったゆっくりの生態について思い出す。 ゆっくりは寒さに弱く、自然の中で暮らす野生のゆっくりは越冬を行うといわれている。 しかし野生ゆっくりと違って野良ゆっくりは越冬を行わない。 元々ゆっくりは越冬をせずとも生きていけるのだ。 冬は体温の低下によって余計に食料が必要になってくるので、その対策として密閉された暖かい巣穴に篭っているというだけだ。 つまりこの子まりさは寒さを気にせずにいられるほどの食料を得られているということになる。 予想ではあるが、この子まりさは人間によってある程度の施しを受けているのだろう。 「ゆーしょ……ゆーしょ……」 子まりさは器用におさげと口を使って雪を固めている。 どうやら雪を使って何かを作っているようだ。 最も、人間の感覚では、それはただ雪を闇雲に盛っただけにしか見えない。 「ゆ……?」 子まりさと視線が合ってしまった。 どうやら完全に気付かれてしまったようだ。 「ゆ! にんげんしゃんがいるのじぇ! ゆっくちしていってね!」 子まりさは逃げ出そうとしないばかりか、俺に向かって挨拶してきた。 やはりこいつは人間から施しを受けているため、警戒心を抱いていないのだろうか。 「ああ、ゆっくりしていってね」 俺は返事を返した。 普通は無視するか潰すところなんだが、ほんの気まぐれだ。 「お前は何をしているんだ?」 子まりさに問いかける。 一体何を考えてそれを作っているのか、ほんの少し興味があった。 「まりしゃはげいじゅつさくひんをつくってるのじぇ! げんだいあーとさんなのじぇ!」 思わず吹き出しそうになった。 俺は必死に右手で口を覆って耐えた。 この子まりさは冗談でいっているわけではないようだ。 そもそもゆっくりに冗談をいうだけの脳味噌はない。 いや、冗談をいうだけの脳味噌どころか、脳味噌自体がない。 奴等の体内にあるのはどういう原理で作られたかわからない餡子だけだ。 芸術作品、特に現代アートというものは一般人には理解出来ないものが多いが、稀に俺なんかでも美しいと思えるものもある。 だが、こいつの作品とやらは百人に訊いても百人が理解できないと答えるに違いない。 こんなもの、中学における美術の通知表の成績が一と二ばかりだった俺でも作れる。 それどころか、感性が発達していない幼児にだって作ることができる。 「芸術作品だと? これのどこが芸術作品なんだ。悪いけど、こんなの二歳の赤ん坊でも作れるぞ」 「ゆっぴいいいい!? まりしゃのげいじゅつさくひんしゃんをばきゃにしにゃいでにぇ! ゆっくちあやまってにぇ! ぷっきゅううう!」 子まりさは頬をぷっくり膨らませて憤慨している。 自分がどれほど酷いものを作っているか、理解すらできないらしい。 まったく、餡子脳というのはおめでたいものだ。 そんなことを考えていると、子まりさが何かを思いついたように笑い始めた。 「ゆっ……ゆっぷぷぷ! そうだったのじぇ! まりしゃ、ゆっくちりきゃいしてしまったのじぇ! くしょにんげんにはまりしゃのげいじゅつてきせんすがりきゃいできないの じぇ! まりしゃ、てんしゃいでごめんにぇー!」 この発言にはちょっとばかりカチンときた。 美術の成績が低かったことをずっと気にしていたのもあるが、こんな汚い野良饅頭に美的センスがないと思われるのは心外だった。 しかしこの子まりさは調子にのっている。 ゆっくりは一度他人、他ゆんを自分より低く評価すると態度が一変するというが、これはその典型だと思った。 「よし、それじゃあ俺がこいつとそっくりの作品を作ってやろうじゃないか」 「ゆぁぁぁん? くしょにんげんにまりしゃのげいじゅつしゃんがつくれるはずないのじぇ! やれるもんならやってみるのじぇ!」 俺は両手で数回雪を掴んで一箇所に集め、適当にパンパンと叩いて固めた、これで完成だ。 適当すぎると思われるかもしれないが、子まりさが作った”芸術作品”なんて、本当にこれだけのものなのだ。 「ほら、できたぞ。寸分違わず再現できただろう」 子まりさはキョロキョロと”芸術作品”を見渡している。 適当に雪を盛っただけのこいつのどこにそこまで見る要素があるのか、俺には理解できない。 しばらくして子まりさが口を開いた。 「ばきゃなの? しぬにょ? これのどこがまりしゃのさくひんしゃんといっしょなの? こんなのゆきしゃんをただかためただけなのじぇ!?」 ああそうかい、違うと申しますか、そうですか。 そこまでいうなら俺自身が考える最高の芸術作品を作ってやるとしよう。 「わかった。じゃあ今度は俺の作品ってやつを見せてやるよ。ちょっと待ってろ」 俺は踵を返して家の中に戻った。 長靴を乱暴に脱ぐと、台所に向かい、冷蔵庫の中からオレンジジュースのパックを持ち出した。 これは今回の作品を作るために必要不可欠なアイテムである。 準備を済ませた後、急いで子まりさの元へ戻った。 「くしょにんげん、おそしゅぎるのじぇ! どれだけのろまなのじぇ! かめしゃんよりおしょいのじぇー? ゆっぷぷー!」 すぐに子まりさがニタニタとした顔で挑発してきた。 ただ、本人には挑発しているつもりなんてまったくないのだろう。 ゆっくりというのは、思ったことをありのままにいうことが挑発と同じになるのだ。 しかし、戻ってくるまで一分もかかってないんだけどなあ、俺はその言葉をいわずに飲み込んだ。 調子に乗ったゆっくりには何をいっても無駄なことは日本国民誰もが知っていることだ。 先ほど盛った雪に、シャベルを使って次々と雪を積み上げていく。 一分もしないうちに、小さな雪の山ができた。 だが小さな雪の山といっても五十センチ程度の高さがある。 子まりさにとっては本当に目の前に聳え立つ巨大な山に見えただろう。 「ゆわぁぁぁ……おっきなゆきやましゃんなのじぇ……。でも、げいじゅつてきせんすしゃんはないのじぇ!」 人を小馬鹿にするような、キリっとした表情を浮かべながら子まりさはいった。 「当たり前だ。これはまだ未完成だ。肝心なパーツが足りてないんだからな」 俺はそういうと、右手で子まりさをつまみ上げた。 「ゆぴいいいい! なにしゅるんだじぇええ!」 子まりさは尻を激しく振りながら抵抗している。 俺はそれを気にもとめず、つま先で雪山の先端を抉り、小さな凹みを作った。 「おっと、こいつは取っておかないとな」 俺は左手で子まりさの帽子を摘むと、それをポケットにしまった。 「ゆんやああああ! まりしゃのおぼーちかえすんだじぇえええ!」 「すぐに返してやるからちょっと待ってろ」 雪山の凹んだ部分に子まりさを頭から押しこみ、尻だけ出るようにして雪で固める。 縦に伸びた子まりさの尻は、冷たさから逃れたいかのように左右にもるんもるん動いている。 ポケットから先ほど奪った帽子を取り出し、尻の上に載せた。 本来顔がある位置にあにゃるがあり、なんともシュールな光景だ。 「よし、尻振りゆっくり像の完成だ」 俺は心地良い達成感を味わいながら像を眺めていた。 「お、おちびちゃああああん!?」 「どぼちておちびちゃんがゆきさんにうまってるんだぜええええ!?」 そこに子まりさの両親と思われるバレーボールサイズのれいむとまりさがやってきた。 こちらの二匹も野良ゆっくりとは思えないほど肌に汚れがなく、艶もある。 飼いゆっくりとまではいかないが、それに近いことは間違いない。 人間に世話をされているのだという予想は確信に至った。 俺はそんなことを考えながらふぅとため息をついた。 まったく、野良に餌付けをするばかりか、外観の世話までするなんてどういう神経をしてるのだろうか。 「おちびちゃああん、へんじをしてねえええ!」 「まってるのぜ、いままりさがたすけ……くしゃいいいいいいい!」 子まりさは力みすぎたのか、助けにやってきたまりさの顔面へ向かって、あにゃるから屁を放出させた。 まりさはそれを正面からまともに受けたことになる。 自分がもしその状況だったらと想像しただけで吐き気がこみ上げてくる。 まりさはしばらく悶絶しながら雪の上を転がりまわっていた。 荒れた息を整え、起き上がったのはそれから一分後のことだった。 そんなやり取りを横目で見ながら、俺は子まりさが埋まっている山の左右に、新たに一つずつ山を作った。 その大きさは先ほどの山の三倍ほどもあり、予めバレーボールサイズのゆっくりを埋められるほどの凹みも作ってある。 「まりさ、おちびちゃんのまわりのゆきさんを、ぺーろぺーろでとかしてね!」 「ゆふん、わかったのぜれいむ。ぺーろぺーろ……づめだいいいいいい!」 「ば、ばりざああああ! しっかりじてええええええ!」 頭の悪いコントを繰り広げている二匹の背後に忍び寄った俺は、素早く彼女らのお飾りを奪い取った。 まりさの帽子は簡単に取れたが、れいむのリボンのほうは少し手間取ってしまった。 「ゆううううう!? ばでぃざのおぼうしさんがあああ!?」 「でいぶのおがざりざん゛ん゛ん゛ん゛! ゆっぐりじないでもどっでぎでえ゛え゛え゛!」 俺の足へ向かって二匹は体当たりを仕掛けてくる。 風船がぶつかってくるような衝撃でしかないので、まったく問題ない。 構わずまりさを持ち上げ、子まりさと同じように雪の中へ埋めていく。 「ゆっぎい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛! づめだい゛い゛い゛い゛い゛! だずげてえ゛え゛え゛え゛!」 「ばりざをはなぜえ゛え゛え゛え゛え゛!」 れいむが一層強い力で体当たりをしてくるが、例えるなら風船がソフトバレーボールに変わった程度である。 まりさを埋め終わり、尻に帽子をかぶせ終わったところで、れいむを埋める作業に取り掛かる。 「いやじゃあ゛あ゛あ゛あ゛! じゅめだい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛! ざむい゛い゛い゛い゛い゛!」 れいむを埋め終わったまではいいが、こいつの場合は少々厄介だ。 リボンを外すのは簡単だったが、どうやって結んだらいいんだろう。 そもそも、リボンを結ぶなんていう複雑な動作を、どうして手も足もないゆっくりが行えるのだろうか、俺は疑問を覚えた。 「めんどくさい、適当に結んでしまえ」 あにゃるの真上にくるように、靴紐を結ぶ要領でリボンを結んだ。 これで三体の尻振りゆっくり像の完成だ。 並んで立つその様は、まるでイースター島のモアイ像、もしくは日本の地蔵のようだった。 おっと、忘れるところだった。 俺はパックの蓋を外し、三匹の上からオレンジジュースをぶっかけた。 オレンジジュースには治療効果のほかに、ゆっくりを延命させる効果がある。 これでこいつらは半日は尻を振る像としての役割を果たしてくれることだろう。 「しかし……」 思わず呟いてしまう。 そのぐらいゆっくり像は不気味で気持ち悪かった。 三匹が思いおもいに動かす尻は、まるで動きに統一感がなく、アニメで見る不気味な食虫植物がうねうねと動いている様子にそっくりだ。 そして三匹だけではなく、雪の上にも降りかかったオレンジジュースが、まるで犬の小便のように圧倒的な存在感を放ちながら黄色く光り輝いている。 俺は足早に家の中に戻り、台所で日本酒の瓶とコップを持つと、自室のある二階に向かった。 先程とは反対の南側にある窓を開けて、通りを覗く。 塀に隠れてゆっくり像は見えないが、道行く人の反応や声を聞くことはできるだろう。 その状態のまま数分間待つ。 窓から侵入してくる冷気によって部屋の中は外と同じぐらい寒くなってしまったが、ここは我慢だ。 数分もすると、出勤していくと思われるサラリーマンの男性、部活の朝練に行くであろう女子高生三人組、ほかにも色々な人が通って行った。 その誰もがゆっくり像を見て怪訝な表情を浮かべていた。 俺はそれを見て満足気な表情を浮かべていたのだが、ふとあることに気付いてしまった。 うちの前にこれを作ったってことは、間違いなく作ったのは俺だと思われるよな。 ってことは、俺の世間での評判は……。 「やっべえええええ!」 俺は最後まで考える前に走りだしていた。 完 あとがき 連続で普通の虐待物です。 次は少年とゆっくりシリーズの第二作をと考えていますが、いつもの通り途中で違う作品を仕上げてしまうかもしれません。 それにしても、虐待を書くのは難しいです。 前作『欲張ってしまったゆっくりの末路』にも沢山の感想をいただきました。 この場を借りてお礼申し上げます。 今回もご意見・ご感想をお待ちしています。 個人用感想スレ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1293586402/ コンバートあき
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※注意 ・『ゲスゆ矯正物語』の番外編です ・俺設定あります ・ネタ被りあったらごめんなさい やぁ、ボクはボランティアお兄さんだよ。 街の恵まれない野良ゆっくりたち相手に慈善活動をしているんだ。 ボクの活動内容は、野良ゆっくりの更正をサポートすること……だったと思う。 まぁ、そんなことはさておき実は今日はゲストをお招きしているんだ。 ケースEX 性根を入れ替える♪ 「むっきゅりしちぇいっちぇね!」 ソフトボール大の白い饅頭にモッサリとした紫色の毛がこびり付いたナマモノ……もとい生き物。 そう、今回はこの子ぱちゅりーがお相手だ。 ボクは窓際で子ぱちゅりーを前にクッションを敷いて腰を下ろした。 さて、楽しいお喋りを始めようか。 「やぁ、ぱちゅりー。ゆっくりしてるかい?」 「むきゅ! ぱちぇはけんじゃなのよ! とうじぇんよ!」 「ははは♪ やっぱりぱちゅりーは可愛いなぁ♪」 いいねぇ、ぱちゅりー種。 ぱちゅりー種は総じて体が弱くストレス耐性も低いとされる。 ゆえに、ぱちゅりー種の野良というのは以前は滅多にお目に掛かれなかったのだが、 最近では別段そうでもないらしい。 街を歩けば薄汚れたぱちゅりーがベンチの下や側溝などでゆっくりしている姿をよく見かける。 ぱちゅりー種もまた世代を重ねるにつれ神経を図太くすることで 種としての存続を図ったとか何とかテレビでどっかの大学の偉い先生が言ってたっけ? まぁ、そんな小難しいことは放っておくとして……。 「ぱちゅりーは賢者なんだね? 賢者は街でどうやってごはんを調達してるのかな?」 「むきゅん! かんたんよ! けんじゃはたべられりゅおやしゃいしゃんがわかりゅのよ!」 ……ふむふむ。 「食べられる野菜が判る? 街中には野菜なんてあんまり生えてないと思うんだけど?」 「むきゃきゃ! やっぱりにんげんはおろかね! しょんなこともわからないなんて!」 ビク!ビク! クッションが心地よい振動を伝えて来る。 良いねぇ、この機能。 「ごめんね、お兄さんは頭が悪いんだ。賢者さまに詳しく教えて欲しいなぁ♪」 「むきゅきゅ♪ いいわ、とくべつにおしえてあげりゅわ! 」 子ぱちゅりーが偉そうに踏ん反り返る。 そして紫色の髪の房の一つをビシっと窓の外に向けた。 「しょこをみなしゃい! しょこのぷれいしゅには、たべられりゅおやしゃいしゃんがはえちぇたわ!」 子ぱちゅりーは髪の房の先には俺の家の庭…… 正確には庭に置いていた自家製プチトマトの植木鉢を指し示している。 もっと正確にいうのなら割れた鉢の残骸というべきか。 「ふむふむ…………」 「こういうぷれいしゅではよくみかけりゅのよ! ぱちぇのけんじゃなみゃみゃのじきでんよ!」 ビクビクビクン! クッションの振動が気持ちいい。 「そっかぁ……そうやって暮らしてるんだぁ♪」 「ぱちぇたちがけんじゃだからこしょね!」 子ぱちゅりーの様子はまさに有頂天だ。 そして、その語り振りからは自分の親を心から信頼し尊敬していることが窺い知れる。 「お野菜さんは美味しかったかい?」 「むきゅきゅ、なかなかけんじゃなおあじだったわ!」 ビックンビックン!……ギュム! 今にも跳ね回りそうなクッションに体重を掛ける。 「そっかー♪ でもね、ぱちゅりー。君たちの食べたお野菜さんはボクのものなんだよ」 「むきゅ? なにいってりゅのかしら? ありぇはぱちぇたちがみつけたのよ!」 「もう一つ言うとね、ここはお兄さんのゆっくりプレイスなんだけどね」 「むきゅ!? ここはぱちぇとみゃみゃのゆっくりぷれいしゅよ!」 「そう言うと思ってたよ。君は悪い子だね、ぱちゅりー」 「むきゅ!! ぱちぇたちのおうちをよこどりすりゅきにぇ!?」 何のことはない、よくある野良ゆっくりによる狼藉である。 こういう場合、この子ぱちゅりーを捻り潰すのが一般的な対応というものだろう。 だが、そこはこのボクである。 可愛いそうな野良を真っ当な道に導くのがボクの務めなのだ。 ちゃんと更正の機会を与えてあげなくては。 「悪い子にはちゃんと言って聞かせないといけないな♪ じゃあ、こうしよう。これからボクがゆっくりが街で生きる為の3つのルールを説明するよ。 それを完璧に覚えられたなら全部ぱちゅりーの言う通りにしよう。 勝手に野菜を食べたことも咎めないし、このおウチも好きにしていいよ。 逆に覚えられなければボクの言う通りにして貰う。 さぁ、どうかな? ぱちゅりー?……賢者ならボクの挑戦に乗ってくれるよね?」 「むきゅ!? そのてにはのりゃないわ! てきとうなこといってぱちぇをけむにまくきにぇ!」 「んん? どうしたのかな、ぱちゅりー? ぱちゅりーは賢者なんだろう? 賢者なら当然できるよねぇ? それとも自信がないのかな?」 「むきゅ!! なにをいっちぇるの!? ぱちぇはしょうしんしょうめいのけんじゃなの!! いいわ。そのちょうせん、うけてあげりゅ!!」 そうしてボクとぱちゅりーの勝負は始まった。 そして十分後、そこには(言い訳や捨て台詞を吐くも)一応敗北を認めつつ、 しかしながら意地でもこの家に居座ろうとする子ぱちゅりーの姿があった。 さて、何度言っても聞かないし、ここはとりあえず敗者としての条件を呑んで貰うとしようか。 「ところでぱちゅりー。ぱちゅりーは文字は読めるかい?」 「むきゅ! ぱちぇはけんじゃなのよ! とうじぇんよ!」 「そっか、そっか♪ それじゃあ、忘れないようにここに書き込んでおうこうね♪」 ボクはハンダゴテを手に取ると、さっきからブルブル小刻みに震えている純白のクッションを抑え付けた。 そして、ハンダゴテでクッションに先ほどの3つのルールを刻み込んでいく。 ジュウ~……ビクビクビクビクビク!! クッションの振動が痙攣に変わる。 だが、文字が焼き付け辛いのでシッカリ抑え込んでから、一文字ずつ深くクッキリ刻み付けていく。 一、 ゆっくりはにんげんにきがいをくわえてはならない 二、 ゆっくりはにんげんのめいれいにしたがうこと 三、 ゆっくりはみのほどをしるべし よし、完成だ。 クッションはまるで耳なし芳一のようになってしまったが、まぁいいだろう。 「よーし、できたぞぉ、ぱちゅりー♪」 「むっきゅり、けんじゃだわ!」 うんうん、子ぱちゅりーも喜んでくれてるなぁ♪ 「ボクの要求はこのゆっくり三原則をしっかり覚えてもらうことだよ。 もちろんこれに従ってぱちゅりーにはボクのゆっくりプレイスから出て行って貰う。 お野菜さんの件は……まぁ食べてしまったものは仕方ない。 ぱちゅりーが反省するなら今回は大目に見てあげよう♪」 「むきゅ、しょうがないわねぇ……しょういえば、みゃみゃはどきょかしら? しゃっきから、みゃみゃのしゅがたがみあたらないわ!」 「ああ、ぱちゅりーのママねぇ。そうだなぁ、そろそろ種明かししようか……えいっ♪」 ボクはポケットからクシャクシャになった布切れのようなものを取り出すと、 痙攣を続けるクッションにパサッと被せてやった。 ついでにクッションを横に半回転させてやると、薄汚い液体を垂れ流す二つの小穴が姿を現す。 小穴……つぶらな瞳は子ぱちゅりーに向けられていた。 「………っ!! ………っ!!」 クッションは何か言いたそうだけど、その溶着された唇だと何も言えやしないよねぇ。 丸坊主にした挙句、口もしーしー穴もあにゃるも全部焼いて塞いじゃったから、 お得意の他界逃げも出来やしない。 一方、目を丸くしてクッションを見つめていた子ぱちゅりーはあんぐりと大口を開けている。 おっと……耳塞いでおこうっと♪ 「…………………ば、ば、ば、ばじぇのけんじゃなみゃみゃがぁ~~~~~~~~~~~~~!!!」 その後は、会話と節食行動を封じたクッション……もとい親ぱちゅりーともども、 子ぱちゅりーを家の前で解放してあげることにした。 親ぱちゅりーは捕獲時の言動から確信犯的に子ぱちゅりーにゲス教育を施していたことが判明している。 だからこそ、子ぱちゅりーには今後は摩れたゲスの口伝に頼ることなく、 親の背中(に刻まれたゆっくり三原則)を見て健やかに育って欲しいと願う今日この頃だ。 翌朝、家から十歩ほど離れたところで大小二つの汚濁した水溜りが広がっているのを発見した。 酔っ払いの吐瀉物だろうか。 何台もの車が踏み去っていったのか……濃い灰褐色のタール状になったソレを見ながら ぱちゅりー親子の行く末に想いを馳せた初夏の一コマであった。 今までに書いたもの anko253 相棒 anko314 夏の終わりに anko339 来訪者 anko455 中身をブチ撒けろ anko459 ゲスゆ矯正物語~威嚇癖を直そう anko465 ゲスゆ矯正物語~悲劇の芽を摘み取ろう anko475 ゲスゆ矯正物語~性根を入れ替える